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日高央のトピックス

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Vol.13 Theme : 「世界を股にかける乙女たち

 

 女性アーティストをプロデュース、自分で解説しちゃうシリーズ最終回は、ダーク・ファンタジーを標榜する個性的なアイドル、STARMARIE(スターマリー。以下スタマリ)です!

 自分がメインMCを務めさせて貰ってるNOTTV1『MUSICにゅっと。』に準レギュラー出演して貰いながら、そのあまりのユニークさ……ファンタジーな世界観は勿論ですが、メンバーしのはむの天然ボケ(イギリスは日本から親指8.5個分左上にある……等の珍回答)をきっかけに番組内で盛り上がり、プロデュースする運びとなりました。

 しかし彼女達との出会いは遡ること1年半ほど前……我らTHE STARBEMSがSXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト。テキサス州オースティンで毎年開かれる音楽とITのコンベンションで、マドンナやガガ様といった大物から、どインディーBANDまでLIVEする幅広さと、FacebookやTwitterを紹介してブレイクのきっかけを作った一大名物イベント)に出演するためアメリカに渡った2014年の3月のことでした。

 ロリータ18号を輩出した名物インディー・レーベル<ベンテン・レコード>のオードリー木村女史と、トム・ウェイツやエルヴィス・コステロらのサポートを務めるマーク・リボウを招聘するなど渋いブッキングでお馴染みのイベンター<トムズ・キャビン>の麻田さんが共同主催する、SXSW日本人出演者メインのイベント『JAPAN NIGHT』に出演させて貰った時、たまたま対バンさせて貰ったのがスタマリだったのです。

 当時は3人組で、初めてのアメリカに戸惑いながらも健気にパフォーマンスする姿は親心的に感動し、聞かれてもいないのに「海外だからって着物的な衣装だと逆に目立たないんじゃ?」「クールJAPANを逆手に取ってアニメ的な見せ方はどうか?」とか何とか偉そうにアドバイスしちゃいました……その後また会うことになるとは思ってなかったんで、言いたいこと伝えたいこと全部言っちゃおう! みたいなね。

 しかしSXSWから帰国直後にメンバーが脱退してしまい、残り2人でメンバー探ししつつ活動するという辛い時期を乗り越え、新たに3人を加えて5人組として再出発したのが約1年前……しかもたった1年でオリジナル・メンバーかのように馴染んだ新メンバー達と新たなグルーヴを確立し、マレーシアやタイなど海外にも進出してしまうほど急成長を遂げ、前述の『MUSICにゅっと。』での再会と相成るわけです。

 宮沢賢治『注文の多いレストラン』よろしく客人が喰われてしまうかのようなシチュエーションを歌った「三ツ星レストラン・ポールからの招待状」や(しかし人生最後の晩餐にプロポーズするというロマンチックな曲でもあります)、5人編成になってからの代表曲『サーカスを殺したのは誰だ』のような、さすが<ダークファンタジー>をコンセプトにしているだけあってマイナーコードを主体とした哀愁ある曲が並ぶスタマリに、果たして俺はどんな楽曲を提供しようか……と考えてたどり着いたのが……EMOい曲でした。

 昨今のアイドル曲はEDM的なアプローチを中心としているので、自然と四つ打ちダンス風な楽曲が多いのですが、シンコペーション(一拍早く音が入ってくること。詳しくは楽器の上手い人に聞いてね)を主体としたバンド寄りの、しかもヴィジュアルやEMOで多用される哀愁感はあまりないな……と感じていたので、ダークかつダーティと言えば……なイメージ全開のBABES IN TOYLAND(ベイブス・イン・トイランド)の代表曲『Bruise Violet』のキメ感を意識した「ネット・オークション・ベイビーズ」を制作。そしてリフのシンコペが気持ち良いVeruca Salt(ヴェルーカ・ソルト)の『Seether』風に、シンコペのリフで攻める「FANTASTIC!!」をカップリングにご用意。アイドルの可憐さとロックのダイナミズムを兼ね備えたシングルになりましたので、是非チェック宜しゅうです。

 勢いに乗った彼女達は、人気アニメ『カードファイト!! ヴァンガードG』のエンディング曲「メクルメク勇気!」を7/19(日)オンエア分から担当することも決定。併せてチェックしてSTARMARIEの魅力を確認してみて下さい!

 


 

日高氏プロデュースの「哀愁感」をキーワードにした一枚!

STARMARIE
ネット・オークション・ベイビーズ

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STARMARIE アーティストページはこちら

 


 
 
【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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Vol.12 Theme : 「苦労を見せずに元気をお裾分けする美女軍団

 

 女性アーティストをプロデュース。を自分で解説しちゃうシリーズ第二弾は、テクニカルな演奏技術でド派手なパフォーマンスを繰り広げるガチャリック・スピン、通称ガチャピン

 

 元々、自分がツアーで各地ライブハウスを回った時に、必ずガチャピンのポスターが貼られていて(当時は4人組でしたが)、Vo.がバニーガール、演奏陣は着物、なデザインのポスターで「何だこいつらはっ!?」と興味半分で見ていたのですが……あまりにもどこのライブハウスに行っても貼ってあるので「おそらく全国をシラミつぶしにコツコツ回ってるんだな……なんて健気なんだ!」という親心のような気持ちに変化し、結果色んな人に「ガチャピン知ってる?」って吹聴して回ってる自分がいました。

 その声が本人達にも届き、今回プロデュースのオファーをいただいた結果生まれたのが「Don’t Let Me Down」。おかげさまでアニメ『ドラゴンボール改』のエンディング曲にもしていただき、多くの方からご好評いただいております、ありがとうございます。

 

 まず彼女達をプロデュースする際に心がけたことは……元気付けよう、ガチャピンを!でした。無名時代から全国ライブハウスをコツコツ回る下積み感を、普通多くの女性アーティストは隠したがりますが、彼女達は逆に開き直ってネタにするぐらいだし、各演奏陣は以前からギャルバン経験を積んで酸いも甘いも噛み分けたキャリアの持ち主なのに、偉そうにする気配すらないどころか、新人アイドルだらけのイベントにも積極的に参加し、誠心誠意ガチャピンを知って貰おうという気持ちが滲み出ています……これは相当の頑張り屋さん達!

 普段はコツコツ練習や努力しているところを見せない彼女達に「Don’t let me down=がっかりさせるなよ」は随分とプレッシャーあるタイトルのように聞こえますが、曲を聴いていただければ分かる通り「Love don’t let me down=愛にがっかりさせられることはない」と、彼女達の音楽への愛情の深さを讃えた内容になっております。ビートルズの名曲「Don’t Let Me Down」とあえて同名にすることで、クラシック感を狙ってみました。

 かつて自分がやっていたビート・クルセイダーズでもアニメの主題歌を何度かやらせていただきましたが「アニメにパンキッシュな2ビート」というのを実現出来ずに解散してしまったので、ここは一発ガチャピンにその夢を託そう! と思いっ切りの良い2ビートを。そこにグイグイなベースと歯切れの良いギター・サウンドが乗っかり、自分で聴いてても気持ちの良いPOP PUNKな楽曲になったと思います……ビートルズのファンには怒られそうですが、ROCKやPUNKは怒られてなんぼ!の物なので、常識人達のしかめっ面を軽快に笑い飛ばすような疾走感が溢れる曲です。

 

 今作でメインVo.を務めるKey.のオレオレオナ嬢の伸びやかな美声もポイントの一つで、LIVEでは歌いつつ弾きつつを華麗に実現してくれておりますので、キラキラした鍵盤の音色と共に楽しんで下さいませ。俺も一度、名古屋でスターベムズとして対バンした時に飛び入りで一緒に演奏させて貰いましたが、演奏してても楽しいこの曲、いつの間にかガチャピンを応援してるんじゃなくて「自分が応援されている」ような不思議な逆転現象に見舞われまして、これはきっと多くのリスナーの背中も押してくれる曲に育つ!と確信した次第。是非アナタのその目と耳で確認して、元気のお裾分けをいただいて下さいな!

 


 

Gacharic Spin
「Don't Let Me Down」

通常音源ハイレゾ

 

購入者特典あり! 本日まで!

 


 
 
【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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Vol.10 Theme : 「昨今のアイドルとポール・ウェラーの親和性

 

 今年に入って女性アーティストのプロデュースをたっくさん手掛けさせていただきました! せっかく音楽ラヴァーズが集まっているmoraなので、一つ一つ元ネタを紐解きながらご紹介します。

 

 まずは美脚と(個人的には美脇だとも思ってる)北欧感で羨望の眼差しを集める美女2人組バニラビーンズ(以下バニビ)。レナ嬢のアイドル好きっぷりや、リサコ嬢のROCKマニアっぷりに歓喜しつつ、マキタ学級(芸人・ミュージシャンのマキタスポーツが率いるバンド)のイベント等で現場がご一緒の機会も多く、自然とご挨拶する仲に……そしてタワレコ渋谷にNOTTV1『MUSICにゅっと。』収録で週2で通うようになり、同じく渋タワで『洋楽第二企画室』MCで通い詰めているリサコ嬢と再会し、今回こうしてプロデュースするチャンスをいただいた感じです。

 アイドルとは言えキャリアの長い2人だし、ブリッブリのアイドル曲よりも、常にスウェディッシュ感やロック感を絶妙にハイブリッドしてきたバニビだけに、俺が書くとなるとやはり80’sの美味しい部分を抽出しつつ、今風にブラッシュアップした楽曲を提供したいなと思い、色々考えた果てに辿り着いたのが……スタイル・カウンシル(The Style Council)でした。

 

 オアシスやブラーといったブリットPOP勢の父・ポール・ウェラーが、オリジナルPUNK期にモッズ・スタイルをリバイバルさせて当時の英国キッズのハートを鷲掴みにしていたTHE JAMをあっさり解散させて、新たに結成したのがスタイル・カウンシル、通称スタカン。それまでのPUNK感の真逆を行くかのような、打ち込みやダンサブルな大人っぽいテイストを打ち出して我々リスナーの度肝を抜いた伝説のバンド……。

 とはいえ誰もがシンプルなR&Rに回帰していたオリジナルPUNK期に、元々R&Bやソウルの影響下にあったモッズ・サウンドを鳴らして唯一無二の音楽性を標榜していたのがTHE JAMだったし、当時のキッズには大人っぽ過ぎると感じられたサウンドもあらためて聴いてみれば、ジャズやフュージョン、クラシックからロックまで貪欲に取り入れたとんでもなくエクスペリメンタルな、でも極上のPOPとして昇華させた非常にハイブリッドなバンドだったことがよく判ります。

 

 デビュー・シングルの「スピーク・ライク・ア・チャイルド」(リンク先M3収録)からブラス全開のダンサブル感が気持ち良いし、当初はドラマーが正式メンバーではなかった点を活かして(ちなみにオアシスのドラマーだったアラン・ホワイトの兄、スティーブ・ホワイトが後にドラマーの座に)、大胆な打ち込みを導入して昨今のR&Bの先駆けとなった「ロング・ホット・サマー」(リンク先M1収録)とかも時代を先取りし過ぎててスゴいです。

 かと思うとイントロの♬チャ・チャ・チャ♬があまりにも有名な「シャウト・トゥ・ザ・トップ」(リンク先M16収録)ではアーバンなROCK感を打ち出したり、個人的なフェイバリット曲「ウォールズ・カム・タンブリング・ダウン」(リンク先M14収録)ではTHE JAM時代を彷彿とさせるシャウトとポリティカルなメッセージで、PUNK&ソウルとでも呼べる新たな疾走感をも獲得。時代やジャンルを超越する卓越したセンスとテクニックを常に披露するポール・ウェラーが、オアシスはじめイギリスの多くのミュージシャンやリスナーから慕われるのも不思議ではない天才っぷりが伺えます。

 

 というわけで天才でもテクニシャンでもない俺が、新人でもベテランでもないバニビに新たな風を吹かせるならば、やはりウェラー師匠のハイブリッド感が不可欠だろう! ということで、スタカン風ブラスROCKに、昨今のEDM的なダンサブル感を加味して制作&提供させて貰ったのが、その名もズバリ「スタイル・アンド・カウンシル」という新曲。バニビのワンマンLIVE限定配布シングルに収録されましたが、いずれ彼女達の新譜にも収録されると思いますので、是非いつかチェックしてみて下さい!

 



ポール・ウェラー関連作からおすすめのタイトルをピックアップ!

In The City(Remastered Version)/The Jam

鋭すぎるリッケンバッカーの音が空を裂く!
パンクの初期衝動溢れる前進バンドの1st

The Jam
『In The City』

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ブラックミュージックのエッセンスを昇華し、
豊かな音楽的広がりを見せる名盤

The Style Council
『Our Favorite Shop』

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むき出しの「歌」の力が顕わになったソロ1st

Paul Weller
『Paul Weller』

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【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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Vol.10 Theme : 「虎は皮を残すが、PUNK界のジャイアンは何を残したのか

 

 皆さんは映画『ソレダケ/that's it』をご存知ですか? 自分にとっても特別な作品なのですが、きっと音楽を愛する多くの人々にとって特別な作品になるであろうこの映画のことを、少しお話しさせて下さい。

 始まりはブッチャーズです……PUNK界のみならず、インディーでもメジャーでも、あらゆるギターBANDに影響を与えまくりながら、その名は海外にまで轟き、遂にはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンとの共演まで果たしてしまった伝説のBAND、ブラッドサースティー・ブッチャーズ(bloodthirsty butchers)……北海道の荒野から産声を上げた彼らは、そのヒリヒリしたサウンドも特徴的ながら、ギタボ(Gt.Vo.)の吉村秀樹という男のジャイアンっぷり? 愛されっぷりも特殊でした。

 酒乱というかアル中というか、とにかく片時も酒を離さない(特にいいちこ)吉村さんは、図体のデカさと眼力の強さ、腕っぷしの強さやキレるポイントが謎過ぎてw、ライブハウス界隈でも常に一目置かれ……いや、恐れられた存在でした。しかしよくよく話してみると70's~80'sの英米PUNK、そして日本のインディーPUNKへの愛がハンパなく、いつしか俺は吉村さんの博識っぷりに惹かれて随分と親しく、音楽について話し込むようになったのです。

 おかげで俺がビークルやってた時にはたくさん対バンさせて貰ったり、『popdod』というアルバムでは「SUMMEREND」という曲で激烈な爆音ギターを弾いて貰ったり……そのお返しで? 吉村さんはブッチャーズの『NO ALBUM 無題』にて、ツアー中一緒に遊んだ長崎の海の想い出を「OCEAN」という曲に託してくれたり……話し出せば切りがない程たくさんの想い出があります。

 そんな吉村さんがアルバム『youth(青春)』制作後に逝去してしまい、多くのリスナーとバンドマンが途方に暮れてしまったのですが……その喪失感を埋めるが如く発表されたのが、映画『ソレダケ/that's it』。元々は石井岳龍監督に、アルバムと連動した映像作品を依頼しながらも吉村さん逝去で頓挫していたのを、監督自らの意志で新たな映画として再構築し、ブッチャーズのサウンドが新旧問わず流れまくる、まさにロックな映画なのです。

 全編を貫くブッチャーズの楽曲もさることながら、『爆裂都市』や『狂い咲きサンダーロード』でお馴染みの石井監督によるスピード感溢れる映像が、独特の緊張感を生み出している傑作です。キャストの豪華さや話題性云々を置いても一見の価値あり。是非、劇場に足を運んでみて下さい。

 

 

bloodthirsty butchers アーティストページはこちらから

 


 
 
【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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Vol.9 Theme : 「LAから幕張へ、伝説から人間へ

 

 様々なアーティストがジャム・セッションする毎年恒例のイベントJAPAN JAMに今年もお邪魔させていただき、TOTALFATと共に「今の目線でのPUNKアンセム」をテーマにセッションさせていただきました。

 今回は幕張のビーチでの開催だったので「海=L.A.?」的に強引な解釈で、カリフォルニアが産んだPUNKレジェンドにしてアメリカンPUNKの伝説、そしてSKA PUNKの元祖でもあるオペレーション・アイヴィー『サウンド・システム』のカヴァーを披露。

 もはや音楽好きなら知らない人はいないであろうSKA PUNK……現在も続いているノー・ダウトマイティ・マイティ・ボストーンズなどを筆頭に世界的に愛され続けているジャンルですが、マイティ・マイティと共に「SKA PUNKの始祖」と言われているのがオペレーション・アイヴィー。1987年の結成から1989年の解散まで、なんとたった3年足らずの活動でアルバムも1枚しか出していないにもかかわらず、いまだに世界中のPUNXに影響を与え続けています。

 現在はランシドとして活動しているティムとマットが在籍していたのも大きいのですが、何よりもその生き急いだかのような性急で荒削りなサウンドが彼らの魅力です……裏打ちのリズムが特徴的なSKAは、通常ゆったり目な曲が多いのですが、オペレーション・アイヴィーはとにかく速いナンバーが目白押し。チョッ速な2ビートPUNKの合間に、SKAナンバーが挟まれる構成の唯一のアルバム『Operation Ivy』は、合間にレゲエを挟んでいたPUNKバンド、ザ・クラッシュのBPMをそのまま押し上げたかのような、荒削りなのにスタイリッシュな雰囲気で、当時のL.A.でも多くのキッズを虜にしました……今の耳で聴いても、そのラフさとクールさの共存は不思議なケミストリーを感じさせ、逆に今の機材では再現出来ないエネルギーに満ち溢れた楽曲達は、ランシドとも違うPUNK感がみなぎった大傑作です。

 荒削りなのはサウンドだけでなくパフォーマンスもまた然りで、カリフォルニアのローカルPUNXに過ぎなかった彼らのライブには、常に人が溢れ暴動状態……そのシーンの中にはグリーン・デイのメンバー達も混じって大暴れしていたり(ビリー・ジョーはランシドのメンバーに誘われていたそうです)、今では名門ライブハウスとなったギルマン・ストリートの名前を一気に有名にしたりもしました。「スカンキン」といった現代に通じるSKAダンスのスタイルもこの頃に形成され、飛び跳ねまくるメンバーと共に、客席もモッシュ&スカンキン状態で、まさに足の踏み場もないような激アツなライブが毎夜開催されていたようです。

 しかしそれは結果的にメンバーを疲弊させます……ローカルPUNXならではの目線で、巨大メディアを疑いながら社会的な正義や真実を訴える歌詞をがむしゃらに叫び続けていたのに、人気が出てしまうと不当にスター扱いされたり、自分たちが逆に大きく影響力のあるメディアのように扱われ始めてしまうことへの違和感が生まれます……いつの時代にも付き物な、ユース・カルチャーの終焉です。潔くバンドを解散させた後、前述の通りティムとマットはランシドを結成。ドラムのデイヴはシュロングというプログレッシブなPUNKバンドを結成し、来日もします(当時俺が働いていたCR JAPANが招聘しました)。

 そしてVo.ジェスは心を病んで半ば隠居状態が続いていましたが……自分がビート・クルセイダーズとして西海岸ツアーに出た2001年、偶然にもジェスに会う機会に恵まれ、直接話を聞くことができました! その頃にはグリーンデイのビリー・ジョーらの協力を得ながら、よりレゲエを中心としたコモン・ライダーというバンドで活動を再開し始めたところで、心身ともに健康を取り戻し始めていました。現在もクラシック・オブ・ラブ名義で元気に活動しており、一昨年にはランシドのティムとコラボ音源を発表したりもしています。

 伝説のバンドと言われたオペレーション・アイヴィーの生の声に触れ、その栄光と挫折のストーリーに胸を焦がしながらも、やはり今でも変わらぬ音楽愛を貫く姿には本当に心を揺さぶられます……この機会に是非、膨大な彼らの活動を追ってみてはいかがでしょうか。

 

オペレーション・アイヴィー、唯一にして傑作のアルバム

Operation Ivy
『Operation Ivy』

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【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。
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