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日高央のトピックス

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Vol.23 Theme : 「そろそろ肉食の時代に揺り返すんじゃね?
 

 

 遅ればせながらあけおめ。遂に4度目の年男を迎えてしまう2016年の一発目は、レミー・キルミスターの訃報を受けてMotörhead(モーターヘッド)をご紹介。そもそもロックを語るのにこんなにふさわしい男はなかなかいないって事に、亡くなってから気付くとは……どんな物でも失ってあらためて気付かされる事ばかり……日々を大事にしなければ。

 そんなシンミリが似つかわしくない輩レミーは、ジャック・ダニエルのコーラ割りを愛飲するアル中にして、天龍や長州力もびっくりのハスキーボイスでスピーディな轟音を奏でる、英国を代表するロックンロールBAND、モーターヘッドのベースVo.にして創始者。歯に絹着せぬ物言いや破天荒な生き様なのに、どこか飄々としたユーモアも忘れない、まさにロックンロールの生きる伝説(だった)。

  そんな彼はもともと、1970年代半ばにサイケデリックでプログレなBAND、HAWKWIND(ホークウインド)のBa.としてシーンに降臨(正確には60年代にROCKIN’ VICKERSというモッズBAND、SAM GOPALというジミヘン的サイケBANDの一員としてデビュー済み)。イギリス版グレイトフル・デッドと称され、サイケでスペイシーなサウンドでなかなかの人気を博したホークウインドだが、北米ツアー中にレミーがコカイン所持の容疑で逮捕され、ツアーをキャンセル。その責任を取らされつつ「そもそも素行が悪い」との理由でレミーは解雇……さすがロックンローラー(笑)。

 ホークウインドが代わりのベーシストとして、同郷ロンドンのサイケBANDピンク・フェアリーズのメンバーを迎え入れると、レミーはここぞとばかりにピンク・フェアリーズの他のメンバーと新BAND、Motörheadを結成。そもそも「モーターヘッド」というBAND名も、レミーがホークウインドとして書いた最後の曲のタイトルから取っており、復讐する気満々。さすがだわレミー(笑)

 そこから2015年まで40年間、紆余曲折ありながらも一貫してラウドで性急で、ハードにドライヴィンするロックンロールを、モーターヘッドとして奏で続けたレミー・キルミスター。ハードロックでもパンクでも、ましてやメタルでもない、でもその全てを内包したかのようなサウンドは充分に革新的だったし、後輩BANDをツアサポに付けてフックアップしたり、大好きなラモーンズに捧げる曲を作ったり、音楽愛に溢れた義理人情っぷりも含めて、全世界のロックンロール・ラヴァーを虜に。代表曲「Ace of Spades」は言わずもがな、ストーンズのカヴァーとかしちゃう意外なセンスも含め、未聴の人は必聴。そして追悼。ありがとうレミー!

 

最大のヒット作にして名盤!
『Ace of Spades』
Motörhead

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【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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Vol.22 Theme : 「音楽家は政治を語るべきなのか、語らざるべきなのか
 

 

 2015年はどんな年だった? 世間的には決してハッピー一色ではなかった……ってのが皆の共通認識なのかな……グッドニュースよりは悪い知らせの方が印象に残ったんじゃない? オリンピックを巡るドタバタや、イデオロギーの衝突、海外でもイデオロギーや宗教の軋轢が連鎖してる印象だし、ここ日本でも政治に関するニュースでほっこりしたり喜んだりした記憶はほぼ無かったかもね……。

 そんな政治不信をひっくり返すべく始まったのがPUNKの一つのきっかけでもあるんだけど、今回はアメリカで最初にポリティカル(政治的)なメッセージを発信したPUNKバンド、デッド・ケネディーズを紹介するよ。バンド名からしてポリティカルな匂いがプンプンしてるでしょ?

  1978年にサンフランシスコで産声を上げた彼ら、通称デッケネは、元々ロカビリーをやっていたギタリスト、イースト・ベイ・レイが、当時勃発したPUNKに触発されてスタートしたので、いわゆるストレートなPUNKっぽさ……性急な8ビートにシャウト気味なVo.……っていうスタイルとはちょっと一線を画していたというか……どこかキッチュでキャンプな、まるでB級映画のサントラのようなまがまがしさを放ってるんだよね。勿論ビートは早いんだけど、サーフ/ガレージのようなエコーたっぷりのギター(「Holiday In Cambodia」)や、ウェスタン映画のようなギャロップ・ビート(「When Ya Get Drafted」)を、PUNKという解釈で倍以上のスピードで演奏したかのような前のめり感が超気持ち良い。

 そして常に半裸でのたうち回るVo.ジェロ・ビアフラの独特の声……高いダミ声にビブラートたっぷりなスタイルは、その後のフェイス・ノー・モアとかガンズ&ローゼスに影響大な個性。アンセム的名曲「Kill The Poor」冒頭の歌い上げから畳み掛けるバンドインの気持ち良さ、「Drug Me」やこれまた大名曲「Too Drunk To Fuck」等の早口言葉みたいなカタルシスはデッケネの象徴。空恐ろしいタイトルなのに、どこか飄々としたユーモアを漂わせる効果も絶大。勿論タイトルや歌詞、そもそもバンド名も政治的なブラックユーモアだらけなので、アメリカよりも先にブラックジョーク好きなイギリスでチャートインするという逆転現象が起こったり、LIVEではビアフラが客に殴られながら歌ったりと、まさにPUNXらしいカオスに包まれていたのもデッケネらしさ。

 しかし80年に発表された1stアルバム『フレッシュ・フルーツ・フォー・ロットン・ベジタブルズ』は名曲揃いの大名盤なのは間違いなく、その鮮烈なサウンドはキッズから、ブラックユーモア好きのインテリ層まで同時に虜にするという離れ技を見せ、一気に全米アングラ・シーンにその名を轟かせたんだけど……エイリアンのデザインでお馴染み天才画家H.R.ギーガーの卑猥なポスターを封入したことで猥褻罪を巡る裁判沙汰になり、その辺からバンド内の人間関係にも不協和音を生み出してしまったというか……裁判の疲弊や、ビアフラ以外のメンバーへの印税未払い等、数々のトラブルが巻き起こり、ビアフラvsイースト・ベイ・レイの間に決定的な溝が出来てしまい、バンドは86年にあえなく解散。2001年にはレイを中心に、ビアフラ以外のメンバーで再結成を果たし、現在も全世界をツアー中。当のビアフラはレーベルを運営しながら数々の音楽プロジェクトに参加しつつ、サンフランシスコの市長選からアメリカの大統領選挙までチャレンジし、現在もポリティカルな活動に余念がない……どんな状況にあろうともブレないPUNK魂、この機会に是非チェックせよ。

 

 さて、俺にとっての2015年は、ザ・スターベムズのメンバーチェンジがあり、勿論それはバンドにとっては苦境に立たされたような状況だったけど、メンバーやスタッフ、そして勿論リスナーやLIVEで実際に観てくれたオーディエンスに支えられて、スターベムズとしての新たなサウンドやパフォーマンスを体得できたような……うまく言えないけど「雨降って地固まる」みたいな一年だったかも。ひとまずありがとう、来年はもっと精進して更にスゴい音を届けるように頑張ろ。良いお年を!

 

今回ご紹介した作品!
『Fresh Fruit For Rotting Vegetables』
Dead Kennedys

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【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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Vol.21 Theme : 「ニューウェーブはいつまで新しい波なのか
 

 

 先日、四日市の老舗ガレージBAND、GASOLINE(ガソリン)のやんちゃなギタリスト、コウイチロウが率いるニューウェーブBAND、XERO FICTION(ゼロ・フィクション)が1stアルバムをリリースし、70'sパワーPOP(これに関してはいつかまた)や80'sニューウェーブ好きの琴線に触れる懐かしくもフレッシュなサウンドを聴かせてくれたのですが……そもそも「ニューウェーブ」って何でしょう? それを考察するべく、今回は元祖ニューウェーブと言っても過言ではないDEVO(ディーヴォ)をご紹介します。

 DEVOは70年代中頃から活動する、おそらくアメリカ初の……もしかしたら世界初の? ニュー・ウェーブBANDです。初期はガレージROCK的な初期衝動溢れるサウンドを鳴らしながら、3コードではないちょっと捻ったROCKを演奏していましたが(「Uncontrollable Urge」や、もはや原形を留めていないストーンズのカヴァー「[I Can't Get No] Satisfaction」等)、徐々にシンセ・ベースや打ち込みを導入し(「Girl U Want」「Whip It」等)、テクノっぽいビート感とギターサウンドを両立させるという離れ業をやってのけました。

  なぜ「離れ業」なのか……それまでのROCKでは、ラウドギター+生ドラムに、シンセサイザーを混ぜるという音楽が存在しなかったからです。ディーヴォも今の耳で聴くとさほどラウドには聴こえませんが、当時としては革命的なことだったのです(「Jerkin' Back 'N' Forth」「Peek-A-Boo」等)……PUNKっぽいギターサウンドに鍵盤が入る場合は、エルヴィス・コステロのようなオルガン主体のサウンドが殆どでしたし、逆にシンセサイザーが入る場合はアンビエントな物か、打ち込みドラムによる非ラウドなテクノサウンドしかなかったのでした。

 世界でも類を見ない「勢いのあるPUNK ROCKにシンセサイザーを混ぜる」という革命的なスタイルを確立しながらも、音楽的に保守的だった当時のアメリカでは(アメリカ人の皆様すみません)なかなか理解されず、まずはヨーロッパで人気を博したのもディーヴォっぽいエピソードで、その証拠に彼らの最初のリリースは、コステロやダムドマッドネス等エッジーなリリースで知られるイギリスのインディー・レーベルSTIFFからでした。

 それがアメリカに逆輸入されて人気を博し、ここ日本でもカルト的な人気が爆発。YMOプラスチックス等、80年代当時のテクノ/ニューウェーブBAND達は、ディーヴォのアレンジを相当研究したという逸話も聞いたことがあります。ゆえに昭和チルドレンな我々はそこから遡ってディーヴォを聴くことになるのですが(俺より一周りも二周りも若いポリシックスのように、更に遡って影響を受けるパターンもあり)、もしかしたら今の四つ打ちサウンド好きにもそれは当てはまるかもしれませんね。

 ちなみにディーヴォといえば、お揃いの黄色いツナギに、巻きグソみたいな赤い帽子(通称エナジードーム)という個性的なルックスでも知られており、おそらく当時のアメリカ及び世界的なエコノミズムへの警鐘として、わざとブルーカラーっぽい匿名性を出すためにお揃いの格好をしていたのだと思いますが(リーダーのマークと中心メンバーのジェリーは美大生だったので色んなメッセージが込められているとも思いますが)、アートを通じてメッセージを発信する活動も非常にパンキッシュで、その個性的なサウンドも含め、どれだけイロモノ的な活動をしようとも、リスナーからの絶大な支持を得続けている稀有なBANDでもあります。この機会に是非ご一聴をば。

 

今回ご紹介した楽曲を収録!
ベストアルバム『Greatest Hits』/Devo

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【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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Vol.20 Theme : 「暖簾を替えても屋号は保てるのか!?

 

 スターベムズの無料配信&会場限定CDレコ発も無事に終わり、各地で激アツな反応いただきました、ありがとうございます! 47歳の糞爺ぃミュージシャン率いるバンドに興味を持って貰えるだけでもありがたいのですが、いかんせんキャリアが長い分「BEAT CRUSADERS時代のネタはもうやらないんですか?」とか、糞爺なだけに言いたいこと言って「その発言は間違っています」とお叱り受けたり、オフィシャルFacebookに「チケ余ってます」と投稿されたり、様々な反応もいただいて非常に勉強になりました。

 俺みたいにワガママなオッサンがバンドを続けられてるのも奇跡だと思いますが、逆パターンでもしVo.だけが入れ替わってしまったら、果たしてバンドはどうなるのか……バンドの顔ともいうべきボーカリストが交替しながらも、絶大な支持を受けた奇跡のバンド、ウルトラヴォックスを今回は紹介します。

 さかのぼること40年前の1974年、最初のVo.ジョン・フォックスを中心にロンドンで結成されたウルトラヴォックスは、当初はデヴィッド・ボウイ的なグラムROCKを標榜していましたが、来たるべきPUNKの波に乗ってアグレッシブなROCKサウンドを奏でるようになり、1977年にシングルデビュー。当時の代表的シングル曲「Young Savage」(試聴)はその勢いに溢れる名曲ですし、今でいうHIP HOP的な役割を担っていたレゲエのリズムを取り入れた「Dangerous Rhythm」(試聴)も野心的な佳曲。

 同時にPUNKがワンパターンになってきている事をいち早く予見したジョン・フォックスは、1978年発表の3rdアルバム『Systems of Romance』にてシンセサイザーを大胆導入し、その後のニューウェーブ/テクノの先駆けとなりました。特に「Quiet Men」(試聴)等はその後のウルトラヴォックスのサウンドの要でもある<ソリッドなギター+シンセサウンド>の基本形となり、数多くのフォロワーを生み出しました。

『Systems of Romance』

 しかし、当時としては革新的な音楽性ゆえに商業的な成功を得られなかったことと、よりパーソナルな音楽に邁進したいということで、78年にはVo.ジョン・フォックスが脱退してしまいます。バンドの顔であり、メインのソングライターを失ったウルトラヴォックス……更にレコード会社からも契約を切られ、残されたメンバー達はゲイリー・ニューマン等のバック・ミュージシャンとして日々を食い繋いでいました……普通ならここで解散でしょうが、彼らはここで大胆な行動に出ます。

 ウルトラヴォックスのバイオリン兼キーボードのビリー・カリーが、当時クラブ・シーンを席巻していた<ニューロマンティック・ムーブメント>(男性も女性も黒尽くめファッション+白塗りメイクのゴシックな装いで、シンセサウンドに合わせて踊りまくっていた)の立役者、ヴィサージのレコーディングに参加した時、同じくゲスト参加していた元リッチ・キッズ(セックス・ピストルズを追い出されたグレン・マトロックのBAND)のVo./Gt.ミッジ・ユーロを、思い切ってウルトラヴォックスのボーカリスト兼ギタリストとして誘い、元々彼らのファンだったミッジはオファーを快諾。

 ジョン・フォックス時代の曲も歌いこなしつつ、それまでのエレキギター+シンセサウンドに、更にシンセベースのアグレッシブさや(「New Europeans」「Sleepwalk」)、逆にクラシカルな叙情性も称えた楽曲(「Vienna」「Western Promise」)も持ち込んだミッジ・ユーロの効果は絶大で、彼が参加後初のアルバム『Vienna』は全英トップ10に入る大ヒットを記録。結果ジョン・フォックス時代を上回る知名度やセールスを上げる奇跡を起こします。

『Vienna』

 その後もコンスタントにヒットを飛ばしますが、商業的な成功による疲弊から1988年にバンドは解散。2008年にミッジ・ユーロ体制での再結成を図り、今では懐メロBANDとして欧州を中心にリリースやLIVEを続けています。最初のVo.ジョン・フォックスも、現在ではアンビエントなシンセ・ミュージックの先駆者としてコンスタントな人気を誇っていますが、BANDの看板が入れ替わっても継続している稀有な例として、ウルトラヴォックスの名は音楽界にその名を刻みました。BANDなんて所詮は水物……皆さんも一切合切の偏見を捨て、ロマンティックな楽曲達に身を委ねてみて下さい。自分の人生のヒントが眠っているかもしれませんよ?

 


 

【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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Vol.19 Theme : 「ROCKバンドはなぜスカル・モチーフのTシャツを着るのか!?

 

 暦の上ではとっくだったのに、やっと秋の到来を感じる今日この頃……寒くなるのはデメリットだけじゃございません、重ね着が出来る季節、つまりファッション好きにはたまらない季節でもあるわけです。

 我々バンドマンは結構、ファッション的にというよりも、割と短絡的にスカルのモチーフを着がちですが、それでもPUNK=ドクロなイメージは鉄板ですよね? 今回はそんなイメージを作り出した張本人、THE MISFITSをご紹介します。

 イギリスでSEX PISTOLSTHE CLASHTHE DAMNEDら、オリジナルPUNK勢が猛威を奮っていた1977年、大西洋を挟んだアメリカでも続々とPUNKバンドが産声をあげていました……マリリン・モンローの遺作『荒馬と女』の原題を冠したバンドを立ち上げたVo.のグレン・ダンジグにより、N.Y.のお膝元ニュージャージーにて結成されたのがミスフィッツ。当初はメンバーが入れ替わり立ち替わりしながらブルージーなガレージROCKを演奏していましたが(「Attitude」等)、Ba.にジェリー・オンリーと、Gt.にボビー・スティールが加入した頃から、時代の波もあってPUNK化していきます。PUNK版ドアーズとも呼べそうなダンジグの野太い、しかし伸びのある力強い歌声で(「Last Caress」等)、地元やN.Y.のクラブでメキメキと頭角を現します。

 そこに生粋のB級ホラー/SF映画好きなダンジグのアイデアで、黒ずくめの衣装に身を包み、顔にスカルのメイクを施し、前髪の真ん中だけを伸ばす「デビロック」ヘアーにしたりと、バンド全体でハロウィンのコスプレ的なコンセプトを打ち出しました……するとこれがアンダーグラウンドなシーンでバカ受け! ダークなEMOさとPOPさのバランスが取れた楽曲と相まって、ミスフィッツのLIVEはモッシュの嵐と化します。

 80年代に入ってGt.にジェリーの弟ドイルが加入し、バンドのマッチョ度を更に上げた頃にはバンドの音楽性も完成し、性急な2ビートの上でダンジグの野太いシャウトが乗っかるサウンドはその後のハードコアPUNKへの序章となり(「Mommy Can I Go Out And Kill Tonight」「Nike-A-Go-Go」等)、曲中で多用されるウォーウォーとシンガロングするスタイルはその後のOi PUNKやSKA PUNKへも影響を与えます(「Night Of The Living Dead」「Astro Zombies」等)。そして何よりスカルを多用したファッションやロゴは、その後ホラーPUNKと呼ばれて多くのフォロワーを生みだし、まさにN.Y.でのショウは黒ずくめのライブキッズで埋め尽くされることになるのですが……。

 1982年にアルバム『Walk Among Us』で念願のメジャー・デビューを果たすも、オーバーグラウンドでの成功は得られず、翌年の2nd『Earth A.D./Wolfs Blood』を完成させた頃には、バンド内で不協和音が鳴り始めます……殆どの曲を手がけていたダンジグにとって、元々は初心者だったジェリーやドイルへの不満が鬱積し、アルバムのリリース2ヶ月前のショウの最中、遂にダンジグはミスフィッツの解散を宣言してしまいます。

 しかしアンダーグラウンドでカルト的な人気を博していたミスフィッツは、その後メタリカガンズといった錚々たる面子らのカヴァーやリスペクトを受けて、ジェリーとドイルの兄弟によって90年代に復活。新Vo.を迎えて97年には傑作アルバム『American Psycho』をリリースします。表題曲「American Psycho」に代表されるように、2ビートからウォーウォー・シンガロング・コーラスまで、ファン達が待ち望んでいたミスフィッツ感をこれでもかと詰め込み、全世界でカルト的に広がったファン達のためにツアーで飛び回ってくれています。現在はジェリー自らVo.を取るトリオ・スタイルで活動中のミスフィッツ、あなたもスカル・デザインのアイテムを羽織る時のBGMとして、部屋で爆音でプレイしてみてはいかがでしょう!?

 


 

1stアルバム
『Walk Among Us』

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97年の復活作!
『American Psycho』

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【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。
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