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■津田直士プロデュース作品『Anming Piano Songs ~聴いてるうちに夢の中~』に収録の名曲たちをご紹介していきます。

 

File09. 「見上げてごらん夜の星を」(作曲:いずみたく)

 

※津田氏が実際にピアノを弾きながら解説しています

 

今回は いずみたくさんが生んだ名曲 「見上げてごらん夜の星を」をご紹介します。

この曲はもともと、同名の夜間高校生の青春を描いたミュージカルのために創られた作品で、初演は1960年。台本・演出の永六輔さんもまだ20代、いずみたくさんはこの作品がミュージカル処女作ということですから、戦後日本、最初期のエンターテインメント、ミュージカルの先駆けですね。
そんなミュージカルの劇中主題歌であるこの曲が、いずれ日本の名曲のスタンダードになるわけです。ミュージカルに懸けたお二人の意気込みとエネルギーに感動します。

素晴らしいミュージカルだからでしょう、日本のミュージカルのスタンダードとなり、何度か再演もされています。
その最初の再演が1963年、坂本九さんの熱い希望から実現した坂本九主演による公演で、この時オリジナルの「見上げてごらん夜の星を」がシングルレコード化され、高い評価を得て第5回日本レコード大賞の作曲賞を受賞します。

既に「上を向いて歩こう」が大ヒットしていた坂本九さんですが、この1963年は「上を向いて歩こう」がアメリカのビルボードで3週連続ヒットとなった記念すべき年でもあります。
その笑顔のそのものの、優しさ溢れる歌で多くの人の心を明るくした坂本九さんは、歌の他にも俳優や司会など幅広く活動する当時の大スターでありながら、福祉活動、慈善活動を積極的に行うなど、人格者としても尊敬される存在でした。
しかし残念ながら1985年の日本航空123便墜落事故に遭遇し、43才という若さでこの世を去りました。
残されたこの「見上げてごらん夜の星を」や「上を向いて歩こう」、「明日があるさ」など数々の作品はスタンダードとなって未だに歌い継がれています。

「見上げてごらん夜の星を」は、発表10年後のフォーリーブスによるカバーから平井堅や槇原敬之によるカバーなど、非常に多くのアーティストやシンガーによるカバー作品が発表されています。作曲をしたいずみたくさんも生涯で1万5000作もの作品を残した素晴らしい作曲家で、「太陽がくれた季節」や「世界は二人のために」、「ふれあい」などは、僕の大好きな作品です。

それでは早速、名曲としての魅力を確認していきましょう。
 (※以降、メロディーは移動ドで音階を表します)

まず最初は「ソーミーミミーミファソー…」と美しく上がるメロディーを、泣きたくなるような、甘く切ない和声が支えます。
聴いている人がなぜそういう気持になるのか?その理由は2つ目の和音にあります。

本来マイナーつまり「ラ・ド・ミ・ソ」であるべき和音が、メジャーつまり「ド♯」の音を含む「ラ・ド♯・ミ・ソ」という和音になっているからです。和音を構成する「ド・ミ・ソ」の次が「ド♯・ミ・ソ」になっているわけです。このコンビネーションが絶妙なんですね。
しかも、よく見るとここまでの4小節で常に「ド♯」が重要な役割を果たしています。

そして「ファ」よりひとつ高い「ラ」の高まりを持って「ラソファーファ」とメロディーが降りてきて 今度は「レーレ♯ーミー」と半音が印象的なメロディーで上がっていきます。
続いて下の「ラソ」から始まる安定感のある「ラソレーミファファーソミーー」というメロディーを、和声が暖かく包みます。
ところがそのあと突然、切ない感じの和声が響き(0:35)その和音に支えられながら「ドドシ」というメロディーが低い「ラ」へ降り、一気に高い「ラ」へと昇ります。ここはこの曲のクライマックスだといえるでしょう。
そして、このクライマックス、メロディーでいうと「(低い)ラー(高い)ラー ミファソーソファーー」 を支える和音は、テーマのメロディー、歌詞も「見上げてごらん」の「ん」にあたる部分と同じ和音です。

そう、最初のところで
~ 本来マイナーつまり「ラ・ド・ミ・ソ」であるべき和音が、メジャーつまり「ド♯」の音を含む「ラ・ド♯・ミ・ソ」という和音になっている ~
と説明したあの和音です。
どうやらこの曲で表現したかったいずみたくさんの心の震えは、この和声と深く連動したようです。

この曲では、長調なのに甘く切なかったり泣きそうだったり……といった、心に響く豊かな感情を 表現してくれる半音の持つ繊細さが、見事に活かされています。
そんな豊かな表情に満ちあふれているのはこの曲が、ミュージカルの主題歌として生まれたことと無縁ではないでしょう。

以上、8小節で表現される世界が「見上げてごらん夜の星を」の基本的な世界です。
短い中に無駄が一切なく、感動が凝縮された素晴らしい世界です。

さて、歌で1回、続いてインストルメンタルでこの世界が表現された後、展開部分が登場します。   
キーが4度上に転調し、さらにこれまで長調だった世界が短調の世界へ変わります。  
寂しそうなメロディーが悲しい表情の和声に包まれて繰り返されます。 鮮やかな世界の変化もまた、この曲がミュージカルのために生まれたからでしょう。

やがて3回目の繰返しでは、後半がごく自然に希望ある感じへと変化していき、元のキーへ戻ります。
再び基本のテーマが2回表現されて、「見上げてごらん夜の星を」は幕を閉じます。

その理由は『一時的な転調感』にあります。
(厳密に言えば、耳が転調していると感じる状態。楽譜上に転調の表記はない)
D(Bm)のキーが5度上のA(F♯m)のキーに変わっているのです。メロディーが切なく美しく高まるのに合わせて、和音も一時的な転調感すら駆使して切なさを伝えてくれます。

甘く切なく、そして希望に向かう優しさと清らかさがひとつの歌に凝縮された名曲「見上げてごらん夜の星を」は、その世界をミュージカルの主演を通して表現した坂本九さんの笑顔や想い出と共に、これからもずっと多くの人の心を暖めてくれるでしょう。

 


 

■津田直士プロデュース作品のご紹介■

DSD配信専門レーベル "Onebitious Records" 第3弾アルバム
Anming Piano Songs ~聴いてるうちに夢の中~

1. G線上のアリア / 2. 白鳥~組曲『動物の謝肉祭』より / 3. ムーン・リバー / 4. アヴェ・マリア / 5. 見上げてごらん夜の星を / 6. 心の灯 / 7. ブラームスの子守歌 / 8. Over The Rainbow / 9. 夜想曲(第2番変ホ長調) / 10. 優しい恋~Anming バージョン / 11. ベンのテーマ /12. LaLaLu

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【プロフィール】

津田直士 (作曲家 / 音楽プロデューサー)
小4の時、バッハの「小フーガ・ト短調」を聴き音楽に目覚め、中2でピアノを触っているうちに “音の謎” が解け て突然ピアノが弾けるようになり、作曲を始める。 大学在学中よりプロ・ミュージシャン活動を始め、'85年よ りSonyMusicのディレクターとしてX(現 X JAPAN)、大貫亜美(Puffy)を始め、数々のアーティストをプロデュ ース。 ‘03年よりフリーの作曲家・プロデューサーとして活動。牧野由依(Epic/Sony)や臼澤みさき(TEICHIKU RECORDS)、アニメ『BLEACH』のキャラソン、 ION化粧品のCM音楽など、多くの作品を手がける。 Xのメンバーと共にインディーズから東京ドームまでを駆け抜けた軌跡を描いた著書『すべての始まり』や、ドワンゴ公式ニコニコチャンネルのブロマガ連載などの執筆、Sony Musicによる音楽人育成講座フェス「ソニアカ」の講義など、文化的な活動も行う。

FB(Fan Page) : https://www.facebook.com/tsudanaoshi
Twitter : @tsudanaoshi
ニコニコチャンネル:http://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi

 

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Vol.23 Theme : 「そろそろ肉食の時代に揺り返すんじゃね?
 

 

 遅ればせながらあけおめ。遂に4度目の年男を迎えてしまう2016年の一発目は、レミー・キルミスターの訃報を受けてMotörhead(モーターヘッド)をご紹介。そもそもロックを語るのにこんなにふさわしい男はなかなかいないって事に、亡くなってから気付くとは……どんな物でも失ってあらためて気付かされる事ばかり……日々を大事にしなければ。

 そんなシンミリが似つかわしくない輩レミーは、ジャック・ダニエルのコーラ割りを愛飲するアル中にして、天龍や長州力もびっくりのハスキーボイスでスピーディな轟音を奏でる、英国を代表するロックンロールBAND、モーターヘッドのベースVo.にして創始者。歯に絹着せぬ物言いや破天荒な生き様なのに、どこか飄々としたユーモアも忘れない、まさにロックンロールの生きる伝説(だった)。

  そんな彼はもともと、1970年代半ばにサイケデリックでプログレなBAND、HAWKWIND(ホークウインド)のBa.としてシーンに降臨(正確には60年代にROCKIN’ VICKERSというモッズBAND、SAM GOPALというジミヘン的サイケBANDの一員としてデビュー済み)。イギリス版グレイトフル・デッドと称され、サイケでスペイシーなサウンドでなかなかの人気を博したホークウインドだが、北米ツアー中にレミーがコカイン所持の容疑で逮捕され、ツアーをキャンセル。その責任を取らされつつ「そもそも素行が悪い」との理由でレミーは解雇……さすがロックンローラー(笑)。

 ホークウインドが代わりのベーシストとして、同郷ロンドンのサイケBANDピンク・フェアリーズのメンバーを迎え入れると、レミーはここぞとばかりにピンク・フェアリーズの他のメンバーと新BAND、Motörheadを結成。そもそも「モーターヘッド」というBAND名も、レミーがホークウインドとして書いた最後の曲のタイトルから取っており、復讐する気満々。さすがだわレミー(笑)

 そこから2015年まで40年間、紆余曲折ありながらも一貫してラウドで性急で、ハードにドライヴィンするロックンロールを、モーターヘッドとして奏で続けたレミー・キルミスター。ハードロックでもパンクでも、ましてやメタルでもない、でもその全てを内包したかのようなサウンドは充分に革新的だったし、後輩BANDをツアサポに付けてフックアップしたり、大好きなラモーンズに捧げる曲を作ったり、音楽愛に溢れた義理人情っぷりも含めて、全世界のロックンロール・ラヴァーを虜に。代表曲「Ace of Spades」は言わずもがな、ストーンズのカヴァーとかしちゃう意外なセンスも含め、未聴の人は必聴。そして追悼。ありがとうレミー!

 

最大のヒット作にして名盤!
『Ace of Spades』
Motörhead

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【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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数々の話題作を世に送り出してきたフライングドッグ。今回はその中でも80年代後半~90年代前半に焦点を当てて、3作品をピックアップ。それらのプロデューサー、ディレクターを務めた、現フライングドッグ代表取締役、佐々木史朗氏に制作秘話を語っていただいた。 取りあげるのはOVA『マクロスプラス』(’94~’95)、劇場作品『MEMORIES』(’95)、OVA『トップをねらえ!』(’88~’89)。当時の現場の雰囲気や、クリエーターたちの息吹を感じてほしい。

取材・構成/鈴木隆詩(ライター)

 


 

 

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制作時のエピソードを語る佐々木さん。

 

 

●菅野よう子が未来の音楽を作った『マクロスプラス』

──『マクロスプラス』のサウンドトラックは、アニメーションでは、菅野よう子さんが初めて一人で手がけられた作品ですね。

佐々木 そうですね。アニメのサウンドトラックでは、まず、溝口肇さんと一緒にやった『ぼくの地球を守って』(’93~’94)があって、その次が『マクロスプラス』です。

──佐々木さんは、菅野さんとどのようにして出会ったのですか?

佐々木 溝口さんのライブに伺って、ピアノを弾いていた菅野さんに「はじめまして」と。その時点で菅野さんはたくさんのCM音楽を手がけられていて、CM音楽界ではすでに有名人でした。才能に溢れた方だったので、『マクロスプラス』の音楽をお願いしようと思って、総監督の河森(正治)さんに菅野さんのCM音楽を聴いていただいたんです。でも、CMには基本的にバトル系の音楽はないじゃないですか。音楽性はすばらしいけど、バトル曲に関しては心配もあるというのが、河森さんの最初の反応で。僕は、他の候補を出すつもりは全くなかったので、ほとんどゴリ押ししたんですね(笑)。

──菅野さんと河森さんは、その後、一緒にいろいろな作品を手がけることになって。

佐々木 もう20年以上の付き合いですよね。『マクロスプラス』はナベシン(渡辺信一郎)が監督で、そこから『カウボーイビバップ』にも繋がっていくわけで。

──菅野さんにとっての『マクロスプラス』は、どのような作品だったのでしょうか?

佐々木 未来の音楽を作るというのが面白かったらしいです。2040年という設定で、バーチャルアイドルが流行っていて。今となっては、バーチャルアイドルはいろいろなアニメ作品に登場しますし、現実でも初音ミクが出てきたりしていますが、当時はかなり先駆的なアイディアでした。ライブでは3DCGを投影した映像が使われるという設定とか、時代をかなり先取りしていたと思います。菅野さんは、いろいろなタイプのシャロンの曲を楽しんで作っていましたね。

──シャロンの曲は4曲入りシングル「The Cream P・U・F」でまとめて聴くことができます。

佐々木 シャロンの曲には観客の洗脳というテーマが明確にあって、それを意識して作られています。山根麻衣と新居昭乃という、全くタイプの違う女性シンガーが、ひとりのキャラとして歌うという形式も珍しいですね。また、シャロンの曲では「Information High」という曲のみ、元電気グルーヴのCMJKさんが作・編曲を担当しており、歌はメロディー・セクストンという女性シンガーが担当しています。

──新居昭乃さんは劇中歌「VOICES」も歌われています。

佐々木 「VOICES」はヒロインのミュン・ファン・ローンが歌手を諦める前に歌っていた曲ということで、物語の重要なモチーフになっていました。昭乃ちゃんは当時うちのアニメの主題歌を何曲も歌ってもらっていたし、菅野さんとも知り合いだった事もあって歌ってもらう事になりました。

──サウンドトラックの演奏はイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団です。

佐々木 イスラエルフィルは、世界的な指揮者ズービン・メータとの関わりも深い有名なオーケストラです。僕らとしては、エモーショナルでいいオーケストラなので使ってみたいという菅野さんの要望もあって、テルアビブまで出かけることにしたんですね。実はレコーディングの少し前に現地で爆弾テロが起きて。今だったら中止になっていたと思うんですけど、当時は緩やかだったというか、結局、現地に向かいました。空港のチェックが非常に厳しかったのを覚えています。

──菅野さんは、オケのメンバーに非常に好かれたそうですね。

佐々木 鳴りのいいスコアを書くので評判が高いですし、本人のキャラクターもあいまって、基本的にどのオケにも好かれていましたね。英語はペラペラというわけじゃないんですけど、雰囲気だったりジェスチャーだったり、言葉以外のものを使って伝えるのがうまいというか、コミュニケーション力はとても高い方です。感覚的かつ本能的で、「どひゃ~」とか「わ~っ」とか擬音語を使って説明するのも、昔も今も変わってないです。

──レコーディングはいかがでしたか?

佐々木 ハードディスクレコーディングがない時代ですし、レコーディングしたホールはマルチテープが使える環境でもなくて、2チャンネルの一発録りでした。もともとオーケストラは、そういう録り方をしていたんですけど。それと、先ほども言った通り、イスラエルフィルは情熱的なオケなので、演奏している時の鼻息が荒いんですよ。ハイレゾでは、オケの鼻息も聴いていただきたいなと(笑)。

──当時ならではの音色もあり、オケの鼻息もありと(笑)。

佐々木 『マクロスプラス』の音楽は、時間もお金もたっぷりかかりましたけど、画期的なものになりました。菅野さんのおかげで『マクロスプラス』が今までにない新しいフィルムになったとも言えるし、手前味噌ですが、この作品によって、アニメの音楽は変わったと思っています。庵野(秀明)さんが原画をやっていて、試写を観に来た時に音楽を誉めていただいたり、業界内からの反響はすごかったですね。

 

MACROSS PLUS ORIGINAL SOUNDTRACK(ハイレゾ)

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●3人の作曲家がこだわり抜いて音楽を作った『MEMORIES』

──『MEMORIES』のサウンドトラックは?

佐々木 『AKIRA』(’88)をやらせていただいた繋がりで、大友(克洋)さんの新しい映画の音楽の制作を、という話がありまして。オムニバスなので、音楽も作品ごとに違う作曲家で、というのがオーダーでした。

──それぞれの作品の作曲家は、どのようにして決まったのでしょうか?

佐々木 『大砲の街』(大友克洋監督)は、こちらに話が来る前から決まっていました。菅野さんに『彼女の想いで』(森本晃司監督)をお願いして、『STINK BOMB/最臭兵器』(岡村天斎監督)は三宅純さんという、CM界の巨匠にやっていただくことになりました。映画版の『彼女の想いで』はオペラの『蝶々夫人』を土台にした作品で、劇中にオペラシーンも出てくるので、それも新たに録って。『最臭兵器』はコメディで、ハードなアクションも出てくるという幅の広い作品だったので、ユルさと激しさの両面を三宅さんにいろいろなジャンルの音楽で表現していただこうと思ったんです。

──さらにプロローグとエンディングを石野卓球さんが担当しました。

佐々木 卓球さんが大友さんの大ファンだということで、快諾していただけました。別のレコード会社からリリースされている方なので、最初はスタッフ同士の話し合いで別名義での参加ということになっていたんです。でも、『MEMORIES』がどれくらい面白いのかとか、その全貌がだんだん分かってきて、石野卓球名義でも構わないという話になって。エンディングの「IN YER MEMORIES」は各作品のサントラをサンプリングしたおもしろい楽曲で、これも当時、庵野さんに「いい仕事してる」って言ってもらいましたね(笑)。

──『彼女の想いで』のサントラは、演奏がチェコ・フィルハーモニー管弦楽団ですね。

佐々木 なぜチェコフィルだったかというと、もちろん弦や金管がすごくうまいオケだというのもあるんですが、5.1chに対応する必要があったからなんです。プラハのドヴォルザーク・ホールはマルチテープで録音できる設備があるので、5.1chに落とせる。それで、日本から西野薫さんという歌姫を伴って、菅野さんたちと一緒にプラハに出かけました。これは、僕は同行していないんですが。

──『最臭兵器』の制作はいかがでしたか?

佐々木 これは国内でのレコーディングで、三宅バンドという感じで、錚々たるミュージシャンが集まっておこなわれました。ドラムが村上“ポンタ”秀一さんと宮本大路さん、ハープが朝川朋之さん、ピアノはポンタさんのバンドPONTA BOXの佐山(雅弘)さん、トランペットはエリック・ミヤシロさん、トロンボーンは村田陽一さん、ベースは(渡辺)等さんと(高橋)ゲタ夫さん、ギターは窪田晴男さんと伊丹雅博さんという知る人ぞ知る豪華メンバーです。なんというか、独特な雰囲気の現場でしたね。

──独特というのは?

佐々木 三宅さんご自身の感覚が、まずは独特で。オシャレで先端を行く音楽をやるんですけど、脱力した感じも得意なんですよね。『最臭兵器』のサウンドトラックは、エレクトリックになったあたりのマイルス・デイビス風のテーマがまずはあって、それに加えてマーティン・デニー風の南国音楽で脱力感を出していただいたり。とにかく、いろいろな音楽が聴けるのが『最臭兵器』なんです。

──『大砲の街』に関しては?

佐々木 これに関しては直接制作にタッチしていないんです。おそらく大友さんと音楽を担当された長嶌寛幸さんが話し合いを重ねて、映像に合わせてオールシンセで音楽を付けていったんだと思います。

──『大砲の街』は全編1カットという、特殊な演出による作品でした。場面が切り替わることなく、カメラが移動していって、物語が進んでいくという。

佐々木 そうですね。フィルム・スコアリング(映像に合わせて音楽を作っていく)をしなければいけない作品だったので、大変だったのではないかと思います。『MEMORIES』のサウンドトラックは、各作曲家さんのこだわりと尽力を感じていただきたいですね。これもお金をかなりかけることになってしまって(笑)、いいものができたと思います。

 

KATSUHIRO OTOMO PRESENTS
『MEMORIES』ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK(ハイレゾ)

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●低予算のスタートから、最後はゴージャズになった『トップをねらえ!』

──『トップをねらえ!』は、今回ピックアップした3作品の中では、一番古い作品ですね。

佐々木 庵野さんの初監督作品です。いろいろなところで話してますけど、OVAということもあって、予算のないところからのスタートでして、音楽も基本的にはシンセで作って、そこに生の弦のカルテットを足すという、なんちゃってオーケストラだったんです。だからこそ、メロディをしっかりしないといけないとか、いろいろな課題がありまして、音楽をお願いした(田中)公平さんには、ご迷惑をおかけしました。

──このインタビューで庵野さんのお名前がすでに何度か挙がってますが、音楽へのこだわりは強い方ですよね。

佐々木 各楽曲に対して、こういうのがほしいと明確なビジョンを持って指示を出される方ですね。たとえば「時の河を越えて…」という曲は小松左京の『さよならジュピター』だったり、過去作品へのオマージュが多く含まれているんです。この曲をパクれというわけじゃなく、あくまでイメージ指定で(笑)。そうすると、公平さんはただ指示通りにやるのではなく、いろいろと考えを盛り込んでくるといった感じで。最初は意思の疎通がうまく行かない部分もありましたが、話数が進み、だんだんお互いの仕事のやり方が分かってくると、うまくキャッチボールできるようになっていきました。

──日高のり子さんと佐久間レイさんが歌ったボーカル曲も、既存曲へのオマージュになっていて。

佐々木 あの頃、庵野さんはおニャン子クラブにハマっていたんですよ(笑)。「トップをねらえ!~FLY HIGH~」はうしろ髪ひかれ隊を意識しているし、「元気でね」は「じゃあね」を意識して、でも、決してパロディという事ではなく。

──遊び心ですよね。

佐々木 そもそもタイトルが『トップガン』と『エースをねらえ!』の合わせ技ですからね。でも、内容はパロディ作品かと思いきや、実はちゃんとしたSFで。最初はとりあえず4話まで作る予定だったのが、6話まで作れることになったんです。しかも売れたので、お金をかけてもいいことになって。4話までは16ミリフィルムだったのが、5話と6話は35ミリなんですよね。

──もちろん音楽にも予算が回ってきて。

佐々木 生のオーケストラが使えるようになりました。ですから、サウンドトラックも後半に行くにつれてゴージャスになっています。あ、ここからお金を使えるようになったんだ、と思って聴いていただければと(笑)。

──『トップをねらえ! 音楽集』の配信版は、当時リリースされた2枚のサントラCDを新たに編集したものです。

佐々木 CDにはドラマパートも収録されていたので、音楽だけを抜き出して編集したのが配信版です。ラスト近くに、交響詩「GUNBUSTER」という曲が収録されていますが、これも聴きどころですね。それまでの曲のメロディが次々に出てきてドラマを振り返る、10分越えの長い曲です。

──最後に、今回語っていただいた3作品に共通するものがあるとすれば、なんでしょうか?

佐々木 音楽でフィルムを盛り上げていく快感が強くあった作品ということですね。『トップをねらえ!』は最初はコミュニケーションがうまくいかなかったのが、映像と音楽のキャッチボールができるようになって、シーンに音楽を当ててぴったりハマった時の快感が本当に大きかった作品です。また、こんな作品をやりたいという思いが、『マクロスプラス』や『MEMORIES』に繋がっていって。それぞれの作品の監督も、音楽に対する感覚が面白くて。そういう方々とたくさん仕事ができたのは幸せでしたね。

 

トップをねらえ!音楽集(ハイレゾ)

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【プロフィール】

佐々木史朗(ささきしろう):株式会社フライングドッグ代表取締役。1982年にビクター音楽産業株式会社に入社。営業部門で3年勤務した後、アニメーション制作のセクションへ。以来、アニメ畑を歩み続ける。2007年にJVCエンタテインメント株式会社内にアニメ専門レーベル、フライングドッグが創立。2009年には社名を変更し、株式会社フライングドッグとなる。

 

 


 

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津田直士プロデュース作品『Anming Piano Songs ~聴いてるうちに夢の中~』に収録の名曲たちをご紹介しています。

 

File08. 「アヴェ・マリア」(作曲:シューベルト)

 

 

 pc_btn_play.pngマークをクリックすることで動画の該当部分に飛びます。
(津田氏が実際にピアノを弾きながら解説しています)

 

今回はフランツ・シューベルトが生んだ名曲 「アヴェ・マリア」をご紹介します。

この曲は歌曲集『湖上の美人』の6曲目、「エレンの歌 第3番」です。
1825年に生まれた曲ですから、31才という若さで1828年に亡くなったシューベルトにとっては晩年の作品ということになります。

シューベルトは600ほどの歌曲を生んだので、「歌曲の王」と呼ばれています。
歌曲以外では25才の時に作曲した「未完成交響曲」が有名ですが、他にも管弦楽曲や室内楽曲、ピアノ曲などを生んでいます。
そういった歌曲以外の作品を含めると、31才で亡くなるまでに1000曲以上の作品を生んだわけですから、圧倒的な作曲の才能を持っていたんですね。

それでは早速、名曲としての魅力を確認していきましょう。
(※以降、移動ドで音階を表します)

通奏低音と分散和音による美しいイントロから始まります。
《コード進行は D D7 G/D Gdim/D D》

ここpc_btn_play.pngでは(0:19)、Gdimという和音が何ともいえない感じを醸し出しています。

この和音は、
明るい感じのする和音:メジャーコード でもなく、
暗い感じのする和音:マイナーコード でもない、
『独特の感じ』を伝えてくれる和音です。
減三和音といって、短3度の音だけで構成された特殊な和音です。
しかも低音が半音でぶつかる感じで流れているので、さらに独特な感じがするのです。
後日ご紹介する、ショパンの「夜想曲」の2つ目のコードも、全くこれと同じ響きです。

さて、次に大切なテーマメロディーがスタートします。
「ドーーーシド」の「ド」が長く続きます。
「シド」を支える和音が心を少し揺らします。
《コード進行は D Bm6》
そう、「シド」を支えて心を少し揺らす和音が、Bm6です。pc_btn_play.png(0:29)

6という数字が表している『G♯』の音が、微妙に心を揺らすのです。
この和音に『G♯』の音が含まれていなかったら、この曲は成り立ちません。

今回、和音のことを説明することが多いのは、このようにこの曲が和音の使い方について卓越したものがあるからです。

我々ポップスの世界でも和音の使い方については色々工夫がなされていますが、クラシック音楽を、当時まだなかったジャズ的なアプローチの『コード進行』で分析すると、とてつもなく優れたコード進行に支えられている曲がたくさんあることに気づかされます。

さて、続けて見てみましょう。

「ミーーー」がまた長く続きます。
《D/A A》と澄みきった和音が支えます。

その後、メロディーが「レド」と下がると暗めの和音に包まれます。
コードはBm、つまりマイナーコードです。
このように『明るい感じ』と『暗い感じ』を巧みに取り混ぜて心を揺らしてくれるのが、クラシック音楽の魅力のひとつですね。

続いて「レーーミレドシラシ」と聖なる感じのメロディーから「ドーーー」と収まる。ここまではとても落ち着いた世界です。
ところが、この辺りpc_btn_play.pngから(0:49)、メロディーと和音がとても「切ない」感じの表情に変化します。

その理由は『一時的な転調感』にあります。
(厳密に言えば、耳が転調していると感じる状態。楽譜上に転調の表記はない)
D(Bm)のキーが5度上のA(F♯m)のキーに変わっているのです。メロディーが切なく美しく高まるのに合わせて、和音も一時的な転調感すら駆使して切なさを伝えてくれます。
《コード進行は D+5 D6 C♯sus4 C♯》

でもここpc_btn_play.png(1:00)でまた元のキーに戻ります。キーへ下がり、先ほどよりも悲しみが増えた感じを、少し低めのメロディーと和音が伝えてくれます。

そして短調のメイン和音「Bm」に落ち着くことで、より暗めの表情になります。
《コード進行は F♯dim F♯ Bm Bm6》
そしてまたキーはAへ転調。pc_btn_play.png (1:10)今回は転調感によって明るい表情へ変わります。

そして転調後のAのキーでもさらに5度上の「転調的なメロディーと和音」によって、光の差すような明るい表情になります。
《コード進行は A/C♯ B7/F♯A/E E7 A 》

ここpc_btn_play.png(1:23)でさりげなくキーがDに戻ります。

「レーレ レード♯ レーミ」とド♯が印象的なメロディーが展開して、「レーミドー …」と完全にキーはDに戻り、落ち着きます。ただし低音はAが続きます。(通奏低音)
《コード進行は A D/A 》

続けて低音がAで持続する感じが変化して、暗めの和音に落ち着きます。pc_btn_play.png(1:37)
《コード進行は A Bm Bm6 》

明るい感じから切ない感じに変わって「ソーファーー」と、高いメロディーを暗めの和音が支えます。pc_btn_play.png(1:47)
《コード進行は A F♯ Em 》

そしてここから、繊細な優しさから、泣きそうな感じに、でも最後は守られるような暖かい感じに包まれる、といった表情が鮮やかに音で表現されます。
《コード進行は G△7 G♯dim A 》

最後に、冒頭に登場した大切なテーマが歌われて、pc_btn_play.png(2:02)
イントロと同じ美しい分散和音と共に曲は終わりを告げます。pc_btn_play.png(2:11)

いかがでしょうか。
この「アヴェ・マリア」は、ある意味とてもシンプルなメロディーの曲かも知れません。

しかしたとえメロディーがシンプルでも、作者の心の震えがメロディーと和音できちんと表現されていると、それだけ聴く人の心を打ち、名曲として残っていくんですね。

 


 

■津田直士プロデュース作品のご紹介■

DSD配信専門レーベル "Onebitious Records" 第3弾アルバム
Anming Piano Songs ~聴いてるうちに夢の中~

1. G線上のアリア / 2. 白鳥~組曲『動物の謝肉祭』より / 3. ムーン・リバー / 4. アヴェ・マリア / 5. 見上げてごらん夜の星を / 6. 心の灯 / 7. ブラームスの子守歌 / 8. Over The Rainbow / 9. 夜想曲(第2番変ホ長調) / 10. 優しい恋~Anming バージョン / 11. ベンのテーマ /12. LaLaLu

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【プロフィール】

津田直士 (作曲家 / 音楽プロデューサー)
小4の時、バッハの「小フーガ・ト短調」を聴き音楽に目覚め、中2でピアノを触っているうちに “音の謎” が解け て突然ピアノが弾けるようになり、作曲を始める。 大学在学中よりプロ・ミュージシャン活動を始め、'85年よ りSonyMusicのディレクターとしてX(現 X JAPAN)、大貫亜美(Puffy)を始め、数々のアーティストをプロデュ ース。 ‘03年よりフリーの作曲家・プロデューサーとして活動。牧野由依(Epic/Sony)や臼澤みさき(TEICHIKU RECORDS)、アニメ『BLEACH』のキャラソン、 ION化粧品のCM音楽など、多くの作品を手がける。 Xのメンバーと共にインディーズから東京ドームまでを駆け抜けた軌跡を描いた著書『すべての始まり』や、ドワンゴ公式ニコニコチャンネルのブロマガ連載などの執筆、Sony Musicによる音楽人育成講座フェス「ソニアカ」の講義など、文化的な活動も行う。

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今年初めより、「読む音楽」をコンセプトに様々なインタビュー・連載を掲載してきた「mora readings」。その始まりの一年間を締めくくるべく、連載陣からジャンルレスに「2015年マイベスト3」を選んでいただきました。「2015年、これが心を打った!」と思うものを(時には音楽にかぎらず)大いに語っていただいております。ぜひご一読ください。

 

>>スタッフ編はこちら

 


 

松尾潔(音楽プロデューサー)

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「2015 音楽の本ベスト3」

1. 『音楽談義』
[著]保坂和志・湯浅学

2. 『ミシェル・ルグラン自伝』
[著]ミシェル・ルグラン [共著]ステファン・ルルージュ[訳]髙橋明子[監修]濱田髙志

3. 『日本歌謡ポップス史 最後の証言』
[編著]中山久民

 

3冊には順位はつけられません。買った順、読んだ順です。ここでは『音楽談義』についてお話しさせていただきますね。

2014年の暮れ、オープンしたばかりの紀伊國屋書店の西武渋谷店を冷やかしで覗いたのですが、そのとき新刊コーナーで目について購入したのが『音楽談義』。とはいえ年明けに読んだので2015年の本とした次第。

1956年生まれの小説家・保坂和志さんと、1957年生まれの音楽評論家・湯浅学さんの対談集です。1968年生まれのぼくは、洋楽好きで理屈っぽいイトコの兄さんたちの気のおけない会話を横で聞いているような、そんな親しみを感じながら読み進めました。

湯浅学さんとは、ぼくがまだ学生ライターだった90年代初頭に何度か呑んだ記憶があります。『bmr(ブラック・ミュージック・リヴュー)』誌のライター新年会で一緒に鍋をつついたっけ。音楽にかぎらず博覧強記の御仁ですが、なによりも彼の文体にはシビれっぱなしでした。ぼくくらいの世代のサブカルチャーの書き手で、彼の影響を受けている人は結構多いと思いますよ。根本敬さんたちとの「幻の名盤解放同盟」での活動も印象深いですね。近年お書きになった小説も読んでいますが、湯浅節としか呼べないグルーブを感じます。

いっぽう、不勉強ながら保坂和志さんの小説はほとんど読んだことがないのです。ただ彼のエッセイにはいくつか触れていて、ある時期の洋楽ロックに精通されていることは知っていました。

この本は音楽談義と銘打ってはいるものの、かつて若者と呼ばれたオトナふたりの青春回想記のような側面もありますね。もちろん文学についての言及もあって読みどころは多いですが、ぼくに刺さったパンチラインとして以下引用しましょう。

保坂:なぜAKBのファンはあんなにでかい顔をしているのよ? ファンというより評論家とか社会学者とか、AKBが好きだとでかい顔でいうじゃない?
湯浅:メインなカルチャーだからじゃない? それは昔から変わらない。

湯浅さんの言葉はいつの時代でも秀逸なアフォリズムたり得ることを痛感。

 

【プロフィール】

1968 年生まれ。福岡県出身。
音楽プロデューサー/作詞家/作曲家

早稲田大学在学中にR&B/HIPHOPを主な対象として執筆を開始。アメリカやイギリスでの豊富な現地取材をベースとした評論活動、多数のラジオ・TV出演を重ね、若くしてその存在を認められる。久保田利伸との交流をきっかけに90年代半ばから音楽制作に携わり、SPEED、MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。その後プロデュースした平井堅、CHEMISTRYにミリオンセラーをもたらして彼らをスターダムに押し上げた。また東方神起、Kといった韓国人アーティストの日本デビューに関わり、K-POP市場拡大の原動力となる。

その他、プロデューサー、ソングライターとしてEXILE、JUJU、由紀さおり、三代目J Soul Brothersなど数多くのアーティストの楽曲制作に携わる。シングルおよび収録アルバムの累計セールス枚数は3000万枚を超す。 2008年、EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲・プロデュース)で第50回日本レコード大賞「大賞」を、2011年、JUJU「この夜を止めてよ」(作詞・プロデュース)で第53回日本レコード大賞「優秀作品賞」を受賞。 NHK-FM の人気番組『松尾潔のメロウな夜』は放送6年目をかぞえる。

近著に『松尾潔のメロウな日々』『松尾潔のメロウな季節』(スペースシャワーブックス)。

 


 

牧野良幸(イラストレーター)

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「2015年ハイレゾベスト3」

1位 J.S. Bach: Das Wohltemperierte Clavier
アンドラーシュ・シフ

自分の中ではグールドと並ぶバッハの本命、シフのECM録音 『平均率クラヴィーア曲集 第1巻&第2巻』がハイレゾでリリースは嬉しかった。ずっと聴いていられる。ほかに『パルティータ」『ゴールドベルグ変奏曲』も出た。

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2位 The 70's Collection
トッド・ラングレン

マニアックだからハイレゾでは出ないと思っていた、トッド・ラングレンの70年代のアルバムが一挙にハイレゾ化された。『Something/Anything?』は、部屋のステレオ・システムではなく、ハイレゾ・ウォークマンでヘッドフォンで聴くのが好み。

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3位 Tug Of War
ポール・マッカートニー

今年はやっぱりポールかな。前半は来日して武道館公演、後半はこのアルバムのニュー・ミックス版がハイレゾで出た。前からいいアルバムとは思っていたけど、ハイレゾで聴くと、まるで今年発表になった新作のように好きになれた。

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【プロフィール】

1958年 愛知県岡崎市生まれ。1980関西大学社会学部卒業。 大学卒業後、81年に上京。銅版画、石版画の制作と平行して、イラストレーション、レコード・ジャケット、絵本の仕事をおこなっている。
近年は音楽エッセイを雑誌に連載するようになり、今までの音楽遍歴を綴った『僕の音盤青春記1971-1976』『同1977-1981』『オーディオ小僧の食いのこし』などを出版している。

 


 

日高央(ミュージシャン/音楽プロデューサー)

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「ザ・スターベムズ的LIVEベスト3」

① 6/19(金) Day Believe Dreamer Vol.1
渋谷eggman 初の自主企画+Ba.の潤が正式メンバーになって演奏やバンド感が一気にタイトになった嬉しい一夜。いつも呼んで貰ってばかりだったHawaiian6を呼べたのも嬉しかった。

② 11/14(土)〜11/15(日) CLICK OR TREAT 2015
下北沢Shelter2デイズ 無料配信+会場限定シングルのレコ発ということに加え、ファイナルにKEMURIを呼んだり、初のワンマンをしたりと、初物尽くしで全部が印象深いツアー。いくつになっても初挑戦は良い。やんないでガタガタ言うより全然良い。

③ 12/22(火) Day Believe Dreamer Vol.2 新宿redcloth
Gt.西くんのホームに初参戦ってことと、年に自主企画を2本も打つのも初の試みで印象深し。朋友のFrontier BackyardとASPARAGUSも大盛り上がりで、その余波でウチもモッシュ・ダイブの嵐。理想的なLIVEに近付けた夜。このノリを全国に持ってくのが2016年の抱負。よろしく。

 

【プロフィール】

1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

 


 

佐藤純之介(音楽制作プロデューサー)

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「2015年 アニメベスト3」

1. おそ松さん

2. 終物語

3. 食戟のソーマ

アニメ音楽の制作プロデューサーという職業柄、自分が携わっていなくとも、 放送中のアニメには大抵目を通しておりますが、その中でも特に印象に残ったのがこの3作品。1位の『おそ松さん』ではED主題歌、3位の『食戟のソーマ』では劇伴のお手伝いさせていただいておりますが、 その事を除いて1視聴者として毎週放送を特に楽しみにしていたのがこの3つのアニメです。

 

1. おそ松さん
第1話冒頭からマシンガンの様に乱射される圧倒的なギャグとパロディの応酬に30分がわずか5分程に感じてしまう程の衝撃を受けた。原作『おそ松くん』では没個性化することで物語を綴っていた六つ子達は21世紀に強烈な個性を得て暴れる様は 爽快感すら感じ、矛盾の数々も「これでいいのだ」の精神でフラグ回収してしまう強引さに脱帽。今の時代に必要なのは「失敗を恐れない強引さ」なのかもしれない。

2. 終物語
化物語から続くシリーズの続編。主人公阿良々木暦(CV.神谷浩史)による明快且つ早口で複雑な用語を含んだ文学的なセリフ回しは一言も聞き漏らさないでいようとするユーザーを無意識のうちにどっぷりと物語の世界観に引き込んでしまう。未来派やロシア構成主義、コラージュを意識したような特殊なアニメ演出、魅力的でエロティシズムに溢れる女性キャラクター達に翻弄される主人公の描写……。これはアニメというよりは、耽美なアート作品ではないだろうか。作品の続きが早く知りたい。来年公開の劇場版作品が非常に楽しみである。

3. 食戟のソーマ
原作漫画に忠実に物語が進行している、つまり”ネタバレ"している状況にも関わらず、人物描写や演出のおかげで毎週ワクワクしながら見ることが出来た。コミックスで読んだ時の印象のまま生き生きと表現されているし、何より主人公たちが作る料理が非常に美味しそうに見える、非常に優秀な「飯テロ」アニメであった。連載している週間少年ジャンプのテーマである「友情」「努力」「勝利」を忠実に演出、手に汗握る展開が多く、大人でも楽しめた。是非2クール目を作って欲しい作品。

 

佐藤さんが制作に携わった『おそ松さん』ED主題歌

SIX SAME FACES ~今夜は最高!!!!!!~

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