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[4/25]【連載】日高央の「今さら聴けないルーツを掘る旅」 vol.30

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Vol.30 Theme : 殿下昇天・天下聖典

日高央の「今さら聴けないルーツを掘る旅」バックナンバーはこちら

 

 2016年は呪われているのだろうか……なかなか収まりを見せない地震が続いたり、まさかプリンスがこんなにも早く逝ってしまうなんて誰が想像しただろう……今回は彼の偉業を振り返ってみようかと。

 筆者が最初に触れた殿下(プリンスの日本での愛称)は、アルバム『Controversy』辺りで、ベストヒットUSAを始め洋楽番組で取り上げられ始めた頃だったんだけど……まずはヴィジュアルのインパクトに驚愕! 宝塚ばりの豪華絢爛な衣装に身を包む殿下を囲むのはエロい女性ギタリストと女性キーボーディスト、そして額に「KAMIKAZE」のはちまきを(しかも逆さに)付けた黒人ギタリスト、そして医者のコスプレをしたキーボーディストと、誰の頭にも「?」が浮かぶのも当然なド派手かつコンセプト不明な面々。誰がゲイで誰がヘテロか判らない倒錯した演出(女性メンバー同士のキスシーン等)もあいまって、当時の邦題『戦慄の貴公子』の名に恥じない奇天烈さ。

 しかし楽曲のPOPさ、ファンキーなのにいなたさよりもROCKの勢い溢れる楽曲群が、観る度、聴く度にだんだんクセになる不思議さ。それまでのブラックミュージック……R&BともHIP HOPとも違う、全く異質の存在。でも異質だからこそ際立つPOPさ。その証拠に次作『1999』で遂に全米TOP10入り。2枚組アルバムというボリュームにもかかわらず、一面に3曲ずつ収録というコンパクトさと、シングルカットされた「Little Red Corvette」がMTV隆盛とあいまって超ヘビロテされたのもあって大ヒットを記録。でもこの頃の殿下はまだ、ド派手な一発屋でキワモノ扱いされてる風潮の方が強かったかも……。

 それを覆した出世作が『Purple Rain』。無謀にも自ら主演して映画を制作し、そのサントラとして発表されたという、今から考えるととても変則的なアルバムなのに……結果、半年ほど全米一位をキープする特大ヒット! ここ日本を始め、アメリカ以外でも全世界的に大ヒット! 遂にプリンスは世界の殿下として降臨! この頃にはクネクネする殿下特有のダンスもクールでヒップな物となり、チェッカーズとかがステージアクションを似せてたのも良い思い出(マイクスタンド倒して足で戻す、みたいなJB譲りのアクション)。

 マイケル・ジャクソンにおける『スリラー』的な代表作が、プリンスにとってはこの『Purple Rain』で、興行的には成功したものの批評家からはボロクソ言われた映画『パープル・レイン』と違って(苦笑)、まさにROCKとFUNKを自由自在に行き来するプリンスの魅力が爆発した傑作となっており(基本、殿下の作品にハズレはないが)、こんなに派手なアルバムからの1stシングルが「When Doves Cry」というミドルテンポのナンバーってのがまず挑戦的でカッコイイ! シーケンスの使い方は現在のテクノに繋がるミニマルさで超クールだし、でもそんなクールな演奏の上に乗るボーカリゼーションの熱さとの対比もスゴい。間違いなく殿下の代表曲の一つである名曲。邦題「ビートに抱かれて」もあながち間違ってない!(笑)

 猥褻な演出とは裏腹に、シェークスピアばりのシリアスな人間模様を想起させる歌詞も良いし、殿下が弾きまくってるギターのまぁ上手いこと! 続くシングル「Let’s Go Crazy」は一転してアップテンポのロックンロールなのに、やはりミニマムなシーケンスが効いてて、このアレンジは当時吉川晃司辺りが参考にしてたりして、日本の音楽界にも大いに波及。そして表題曲「Purple Rain」は、シングルこそ4分前後にエディットされてるものの、ミュージックビデオはアルバム収録通り8分超えの大作に。それでも美メロとプリンスの熱いシャウト、悶絶のギターテクで全然聴ける名曲に。ロックでファンクでテクノでプログレってもうどんだけ天才なの!? 前作のジャケも含め、ここら辺から殿下=紫、のイメージが確立したのも良い想い出。

 っつーか一回で書き切れないわ、殿下との想い出……いや、殿下への恋文。というわけで次回も俺のプリンス論をば。それまで殿下の作品をみっちり聴いて予習せよ!

 


 

~プリンス初期の代表作~

 

Controversy

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1999

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Purple Rain

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▽ハイレゾ配信の紹介など▽

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【日高央 プロフィール】

ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。

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