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[1/8]【インタビュー】DSD専門レーベル「Onebitious Records」安眠ピアノアルバム完成記念・津田直士プロデューサーに訊く(前編)

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moraのお送りするDSD配信専門レーベル "Onebitious Records" 第3弾アルバム『Anming Piano Songs ~聴いてるうちに夢の中~』が配信中。単なる名曲のピアノ演奏作品ではなく、ひたすら"心の安らぎ"にフォーカスし、未だかつて世の中に存在しなかったほど優しいタッチで演奏された全12曲です。あえて曲間の無音部分が無い "ギャップレス再生"を活かした作品作りを行い、結果として「安眠」に適した……「最後まで聴けずに眠ってしまう可能性の高いアルバム」が完成。moraではこれを記念して同作のプロデューサーである津田直士さんへのインタビューを実施。その狙いと選曲の理由などについてたっぷりとお話を伺ってきました。

 


 

DSD配信専門レーベル "Onebitious Records" 第3弾アルバム
Anming Piano Songs ~聴いてるうちに夢の中~

1. G線上のアリア / 2. 白鳥~組曲『動物の謝肉祭』より / 3. ムーン・リバー / 4. アヴェ・マリア / 5. 見上げてごらん夜の星を / 6. 心の灯 / 7. ブラームスの子守歌 / 8. Over The Rainbow / 9. 夜想曲(第2番変ホ長調) / 10. 優しい恋~Anming バージョン / 11. ベンのテーマ /12. LaLaLu

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FLAC / DSD

 


 

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「“空間が美しくなって、音が一切、思考や心の動きを邪魔しない”ピアノ曲ばかりのアルバムを創ってみたくなりまして……」作品について語る津田直士さん。

 

――12月末にリリースされた、津田直士プロデュースDSD音源アルバム第2弾『Anming Piano Songs』について、プロデュースされた津田直士さんにインタビューをさせて頂こうと思います。よろしくお願いします。

津田 はい、よろしくお願いします。

――前回のアルバム『Gradation』は「あなたのための映画音楽」というテーマでしたが、今回のテーマは、ずばり「安眠」なんですね。

津田 そうです。でも実は、最初は違うテーマで考えていたんです。moraのスタッフと打ち合わせを重ねていくうちにテーマが発展していって最終的に「安眠」に辿り着きました。

――そうだったんですか。

津田 ええ。『Gradation』が完成した後、すぐに僕の中で次に創りたいアルバムコンセプトが浮かんだんです。それは「究極に優しいピアノアルバム」だったんですね。

――それは一般的なピアノアルバムと、どこが違うんですか。

津田 僕が人生で一番たくさん聴いている、あるアルバムがありまして。 それは、ジョン・ルイスというジャズピアニストの「バッハ:プレリュードとフーガ」シリーズなんです。 僕は原稿を書く時や飛行機で移動する時、このアルバムを控えめの音量でずっと聴いているんです。 もともとバッハが大好きな上に、ジョン・ルイスのピアノ演奏もやはり大好きで……。 それに、このアルバムの曲が流れていると空間が美しくなって、でも音が一切、思考や心の動きを邪魔しないんですね。

――知りませんでした。聴いてみたいです。

津田 ぜひぜひ。でね、極端にいうと「常にそのアルバムを聴いている」のに近い状態が20年以上続いた結果、いつしか僕のピアノプレイも影響されていまして。 ジョン・ルイスのプレイを意識して自分のオリジナルピアノ曲やスタンダードナンバーを弾いていると、心がとても落ち着くんですね。自分のライブなどでも好評だったりして。 で、自分でも「空間が美しくなって、音が一切、思考や心の動きを邪魔しない」ピアノ曲ばかりのアルバムを創ってみたくなりまして……。

――なるほど!それは魅力的ですね。でもそういった演奏を収めたアルバムって珍しいのですか?

津田 そのアルバムがあまりにも好きだったので、他にもないか僕も探してみたんです。 でもね、なかった……。(笑) ピアノの語源って、ピアノフォルテ、じゃないですか。 ピアニッシモからフォルテッシモまで表現できる、ダイナミクスの大きさがピアノという楽器の魅力なわけですから当然、ピアノ演奏には通常そのダイナミクスが活かされているんですね。 僕だって、普段は「ダイナミクスがとても激しい演奏」が特徴な位で……感情がそのまま伝わるから、それは素晴らしいことなんですけど……。でも、それを敢えて抑えて、ひたすら優しく演奏した曲ばかりをアルバムにしよう、と考えたんです。 まあ、ある意味とてもニッチな作品ですけどね。(笑)

――はい。音を聴かないで説明だけを聞いていると、確かにかなり変化球な感じがしますね。

津田 あはは、そう、変化球ですよね。でも、実際僕が人生で一番聴いているのがジョン・ルイスの「バッハ:プレリュードとフーガ」なので、その意図がちゃんと伝わった人には、きっと意義のあるアルバムになるんじゃないか、って思いまして……。

――そのイメージをウチのスタッフとお話しされたわけですね。

津田 そうそう。A&Rの蔦壁さんと話していて、幸い大賛成されたんですが……。 よく話してみると、大賛成してもらえたのはそのイメージが「安眠」につながるのでは、という視点が蔦壁さんにあったからなんです。

――確かに心が安らぐ、ということは安眠につながりますよね。

津田 そう、実際のところ、確かに安眠そのものなんですよ。 僕ね、さっきも言ったように、飛行機で移動する時は必ずジョン・ルイスの「バッハ:プレリュードとフーガ」を聴くわけで、ボリュームを最小限にしていると、実にいい感じで安眠が……

――それは良いですね。しかも、安眠につながる音源って、moraでもランキング上位の作品がここ最近多いですから。

津田 そうみたいですね。で、安眠というテーマは僕のイメージがそのまま活かせるなと思い、その方向で考えていくことに決めまして……。 だから僕も、世に出ている安眠向けの作品をいろいろ聴いてみたんです。 そうしたらね、これはあくまで僕の個人的な……とても個人的な感想なんですけど、想像していたものよりも演奏が優しくなかったりして(笑) これで本当に安眠できるのかなぁ……?と思いまして。 で、こうなったら「最も安眠できる音源」にしてしまおう!って気合いが入っちゃって、蔦壁さんとも盛り上がりまして……。 そんなわけで「安眠が最重要テーマのアルバム」を創ることになったわけです。

――なるほど!

津田 それで、どんな曲を集めたら良いのか考えまして、まずはやはりクラシックの、しかも安眠だから子守唄的な曲だろう、と探し始めたんですが、僕のピアノ演奏にふさわしい曲、という観点を加えてみると、「ブラームスの子守唄」くらいしかピンとこない。 で、子守唄という前提をはずしてクラシック曲全般を見渡してみたら、真っ先に「G線上のアリア」が浮かびまして。

――アルバムの1曲目に収録されていますね。

津田 はい。やっぱり、何よりもまずは大好きなバッハから、と。 それに「G線上のアリア」は今までも僕なりのピアノアレンジで時々弾いていたので、あえて「究極に優しいピアノ」とか「安眠」を意識して弾いてみたら、とても納得のいく演奏ができたんですね。で、よし、これでいこう、と。 で、「G線上のアリア」が決まったら、サン=サーンスの「白鳥」やシューベルトの「アヴェマリア」 ショパンの「夜想曲」といった曲がすぐ見えてきまして。

――何となく、選ばれた曲には共通した傾向がありますね。

津田 ええ。 共通しているのは、メジャーキーでテンポがゆったりした、優しくて暖かい、でも心がちゃんと揺さぶられる曲、という感じですね。 実は、作曲家で選ぶなら本当はベートーベンやチャイコフスキーも大好きなんですけど、そういう曲調の作品が浮かばなくて……。

――「ブラームスの子守唄」を加えて5曲、それ以外に7曲が収録されていますが……

津田 そうなんですよね。ちょっとその辺を説明しますと、その5曲を選んだ段階で、簡単なデモテイクを録り始めたんです。選んだ曲がクラシックなので、譜面も含めてきっちりした曲の構成がオリジナルとして存在するわけなんですけど、それを「安眠」というテーマに沿ってどうアレンジし直すべきなのか……。 その辺りを考えながらデモ演奏を進めていくうちに、今回のアルバムの方針が見えてきたんです。

――どんな方針ですか?

津田 さっき話したような傾向で選んだ今回の作品には、オリジナルに沿って普通に演奏すると4分位のものが多くて。その場合、安眠だからあえて2倍の長さにするのもありかな、と考えまして。曲があまり早く変わってしまうとよろしくないな、と思ったので。 さらに、これは大事なアイデアなんですが、今回のアルバムでは、全ての曲をメドレーとして演奏し、アルバム全体が1曲のようにつながっているもの(ギャップレス再生)にしようと決めたんですね。

――最初にアルバムを聴いた時、確かにそこは「なるほど!」と思いました。

津田 あ、嬉しいです。 それでね、僕らしく、しかも究極に優しく弾いていると、2倍の長さにした時、何か物足りないな、と感じたんですね。 で、そこを何とかするために色々考えているうちに、突然閃いたんです。

――おお……! 何でしょう?

津田 ボーカリストの起用です。 ジョン・ルイスの作品や前回の『Gradation』にとらわれていて、すっかりインストルメンタルのイメージだけでアルバムをイメージしていたのですが、「安眠」というテーマなら、赤ちゃんに子守唄を歌うお母さんのように、優しいボーカルはとてもフィットするのでは、と気づきまして……。

――ああ! 確かにそうですね。

津田 ただ、ボーカルといっても、今回のアルバムの主旨にかなうスタイルや声を提供してもらえる人がいないと始まりませんから、まずボーカリストを誰にお願いするのか……どんなスタイルで歌ってもらうのか…… その辺りから改めて考え始めたわけです。

 

>>後編はこちら

 


 

【プロフィール】

津田直士 (作曲家 / 音楽プロデューサー)
小4の時、バッハの「小フーガ・ト短調」を聴き音楽に目覚め、中2でピアノを触っているうちに “音の謎” が解け て突然ピアノが弾けるようになり、作曲を始める。 大学在学中よりプロ・ミュージシャン活動を始め、'85年よ りSonyMusicのディレクターとしてX(現 X JAPAN)、大貫亜美(Puffy)を始め、数々のアーティストをプロデュ ース。 ‘03年よりフリーの作曲家・プロデューサーとして活動。牧野由依(Epic/Sony)や臼澤みさき(TEICHIKU RECORDS)、アニメ『BLEACH』のキャラソン、 ION化粧品のCM音楽など、多くの作品を手がける。 Xのメンバーと共にインディーズから東京ドームまでを駆け抜けた軌跡を描いた著書『すべての始まり』や、ドワンゴ公式ニコニコチャンネルのブロマガ連載などの執筆、Sony Musicによる音楽人育成講座フェス「ソニアカ」の講義など、文化的な活動も行う。

FB(Fan Page) : https://www.facebook.com/tsudanaoshi
Twitter : @tsudanaoshi
ニコニコチャンネル:http://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi

 

【連載】

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