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[12/18]渡辺美里『eyes -30th Anniversary Edition-』【FLAC|96.0kHz/24bit】 【全曲レビュー】ハイレゾ版で聴く、1985年デビュー時における渡辺美里の魅力に迫る

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eyes -30th Anniversary Edition-

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■「音楽コンシェルジュ」・ふくりゅうによる作品解説

渡辺美里のデビュー・アルバム『eyes』が、30周年を記念してリマスタリング、ハイレゾ化された。1985年の渡辺美里の印象は、誤解を恐れずにいえば“アーティスティックなアイドル”だった。それまでの音楽シーンには無かったポジショニングの開拓。80年代、山下久美子や白井貴子が確立した、ライブに強い女性ヴォーカリストのあり方をアップデートしたフレッシュな存在感。高校卒業後すぐにメジャーデビューした渡辺美里。19歳のデビューは鮮烈だった。

80年代を代表する映画『フットルース(Footloose)』のサウンドトラックに収録された、ケニー・ロギンスのヒット曲「I'm Free」を日本語詞でカバーしたデビュー曲。カップリング曲は、プログレ・ポップなエイジアの「Don't Cry」の日本語カバーだった。あえて背伸びして洋楽色を匂わせること、悩めるティーンエイジャーの表情をリアルに描いた歌や言葉の魅力。テレビ番組など、マスメディアの露出を敢えて控えながらも、当時10代に圧倒的な支持を集めていた音楽雑誌『PATi PATi』や『GB』での洗練されたヴィジュアルやリアルなインタビューによる大展開。お人形的存在だったアイドルとの差別化。そんな徹底したブランディングが、簡単には消費されない強靭なアーティスト像を生み出していった。

結果、J-POPシーンならではの“ガールポップ”といった、女性シンガーを指す新しいジャンルが生まれた。その後、谷村有美、永井真理子、CHARA。そしてYUI、miwaなどの系譜へと受け継がれている。

1stアルバム『eyes』は、モノクロのアップな顔写真が印象的なジャケット・アートワークが印象的だった。これは、美里自身が持参したU2のデビュー・アルバム『BOY』がモチーフになったという(※Blu-specCD2仕様のCD盤『eyes -30th Anniversary Edition-』には未公開アザーカット写真を掲載)。デビューから半年後にリリースされた本作は、当初のセールス・アクションは正直地味だった。シングルヒット曲も生まれていない。しかし、これは所属レコード会社のエピックソニーが目先のヒットに捕われず、デビュー・アーティストを絞り込み、焦らずじっくりと育てていく方針だったためだ。結果、渡辺美里は、長く第一線で活動を続け今年30周年を迎えている。

注目すべきは、後のエピックソニー・ブームを生み出す主要アーティストが、作曲者として参加していることだ。1983年にデビューして「十人十色」がスマッシュヒットしていた大江千里(24歳)、カセットでのデモテープ応募から参加が決まった岡村靖幸(19歳)、TM NETWORKとして1984年にデビューしたがまだブレイク前の小室哲哉(26歳)、木根尚登(27歳)による楽曲提供も興味深い。

アレンジにはエピックソニー・サウンドの父というべきYMO界隈でギタリストを担当した大村憲司、80年代歌謡シーンを制覇していた後藤次利、佐野元春 with THE HEARTLANDにキーボーディストとして参加していた西本明、美里の高校の先輩でありエピックソニー黄金期をバックアップした清水信之が参加しているという、日本音楽シーン鉄板の製作陣の参加も興味深い。渡辺美里といったダイヤモンドの原石のようなポップアイコンをどんな楽曲やサウンドで輝かせるか? そんな命題が、日本を代表する音楽クリエイターの才能を刺激したことはいうまでもないだろう。

渡辺美里デビュー30周年記念盤としてリリースされたハイレゾ版『eyes -30th Anniversary Edition-』【FLAC|96.0kHz/24bit】は、ニューヨーク・スターリング・サウンドのテッド・ジェンセンが、当時のアナログ・マスターテープから最新技術によりリマスタリングを施し、30年の時を超えて新たな彩りを添えている。80年代に息吹をあげたガールポップの歴史のルーツとも言える名盤を堪能して欲しい。

 

■『eyes -30th Anniversary Edition-』全曲解説

●1. SOMEWHERE
小室哲哉が作・編曲を手掛けた、美里によるコーラスを多重録音したイントロダクションなオーバーチュア。

●2. GROWIN' UP
作曲家修行中だった岡村靖幸による人気シングル曲。ハイレゾ版では、リズムのアタック感の強さを感じられる。

●3. すべて君のため
岡村靖幸節全開なかなりクセのあるナンバーながら、サビでの高揚感がたまらない。アレンジは後藤次利。

●4. 18才のライブ
初の西武球場ライブでのオープニングを飾ったナンバー。大村憲司による疾走感あふれるアレンジが絶妙。

●5. 悲しいボーイフレンド
大江千里作詞・作曲のシティポップな名曲! 後藤次利によるトリッキーなリズムアレンジがたまらない。

●6. eyes
バラードといえばこの人、TM NETWORKの木根尚登作曲によるナチュラルテイストな名曲ポップソング。

●7. 死んでるみたいに生きたくない
本作のハイライト! 小室作曲による思春期の焦燥感をあらわした、新しいセンスを感じさせるロック名曲!

●8. 追いかけてRAINBOW
事務所の先輩、白井貴子 作曲によるポップソング。美里初の作詞曲でもあり、話し言葉調なテイストが特徴だ。

●9. Lazy Crazy Blueberry Pie
作・編曲を岡村靖幸が手掛けた劇画的にシリアスなポップソング。ギター・カッティングがテンションあがる。

●10. きみに会えて
小室哲哉作曲によるファンの間でも人気な珠玉の名曲。小室自身もカバーしているお気に入りのナンバーだ。

●11. Bye Bye Yesterday
岡村靖幸による本作4曲目の作曲。モータウン調なシャッフル・ビートに軽快なポップソングがたまらない。

●12. I'm Free(Bonus Track)
1985年5月2日リリース、渡辺美里のデビュー・シングル曲。TBS系ドラマ『スーパーポリス』主題歌。

●13. タフな気持で (Don't Cry) (Bonus Track)
作曲がジョン・ウェットン&ジェフ・ダウンズというクレジットだけで高まるプログレ・ファンはいるのでは?

●14. ルージュの色よりもっと(Bonus Track)
2ndシングル「GROWIN' UP」カップリング曲。歌謡曲方面で活躍していた亀井登志夫作曲によるポップバラード。

 

本作が気になった方は、引き続き美里のアルバム『Lovin' you』、『BREATH』、『ribbon』、『Flower bed』、『tokyo』、『Lucky』などを聴いてみて欲しい。自らの琴線に触れる宝物のようなフレーズと出会えることだろう。渡辺美里30周年、いまこそ楽曲の価値と向き合い、正当に再評価してみたい。

 


 

【執筆者プロフィール】

ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
1976年生まれ。音楽ライター、エディター、音楽プランナー,WEBプランナー、選曲家など多岐にわたり活躍。近著は「ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本」。

Twitter: https://twitter.com/fukuryu_76
HP: http://bylines.news.yahoo.co.jp/fukuryu/

 

 

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