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[12/3]【連載】津田直士「名曲の理由」第8回:10曲の名曲たち

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今回から10回にわたって心が優しくなる名曲をご紹介していきます。ラインナップは次の通り。
(※表記は曲名/作曲者/曲の生まれた年)

 

1.G線上のアリア (J・S・バッハ) 1720年頃または1730年頃

2.白鳥 (サン=サーンス) 1886年

3.ムーンリバー (ヘンリー・マンシーニ) 1961年

4.アヴェマリア (シューベルト) 1825年

5.見上げてごらん夜の星を (いずみたく) 1960年

6.子守歌 (ブラームス) 1868年

7.Over The Rainbow (ハロルド・アーレン) 1939年頃

8.夜想曲 (ショパン) 1831年

9.ベンのテーマ (ウォルター・シャーフ) 1972年頃

10.LaLaLu (ペギー・リー & ソニー・バーク) 1955年頃

10曲が収録された安眠に特化したアルバム『Anming Piano Songs ~聴いてるうちに夢の中~』はコチラ

 

 10曲に共通しているのは、メロディーに最小限の和声を合わせるだけで、その美しさが伝わるところです。そういった曲が僕は大好きなのですが、実はメロディーと最小限の和声だけで聴いている人の心を動かす、ということはそのままその曲の名曲性を表していることになるのです。まずメロディーが美しく、心を動かす力があります。そして作者がイメージして演奏者に指定した和声も、メロディー同様美しく、心を動かしてくれます。さらにその和声とメロディーには、実に深い結びつきと相関関係があるのです。

 これまでもこの連載で私は書いてきましたが、作品を生んだ作曲家は、メロディーと和声で自分の心の震えやうねりを表現しています。メロディーが上にあがる、下にさがる、同じ高さを持続させる、離れた音に飛ぶ、滑らかに動く、リズムを強調する、静かで動かない、などの様々な動きで、生んだ作曲家の心を豊かに表現しています。一方和声も、その種類によって, 明るい感じ/暗い感じ/切ない感じ/広がる感じ/不思議な感じ/複雑な感じ/緊張感のある感じ/穏やかな感じ……などを表現します。さらに和声では、和声つまりコード(和音)が順番に変化していくことで、さらに豊かな表情を伝えることができます。我々ポップス音楽の世界ではこれを『コード進行』と呼ぶのですが、このコード進行が曲に豊かな表情を与えつつ、聴いている人の心を動かすのです。

 そして、とても重要なことなのですが、その 『コード進行が醸し出す表情』と『メロディーが紡ぎ出す表情』が、どのように絡み合って人の心に届くのか……というところが、その曲が名曲であるかどうかを左右するのです。ですから、私がこのコラムでご紹介する名曲たちはみな、上記の絡み合った結果が本当に素晴らしく、人の心を打ち震わせてくれる曲ばかりなのです。

 今回選んだ10曲以外にも、私がその名曲性をご紹介したい曲はまだまだたくさんあります。ただ今回、私があるピアノアルバム(DSD配信専門レーベル "Onebitious Records" 第3弾アルバム『Anming Piano Songs ~聴いてるうちに夢の中~』)を制作することになり、それに向けて選んだのが、この10曲のラインナップだったわけです。そのピアノアルバムは『究極に優しいピアノアルバム』という趣旨で企画されたものでした。究極に優しいピアノで名曲を演奏すれば、聴いている人の心が癒され、豊かで幸せな気持になるだろう、という想いから生まれた企画です。このアルバムを聴くと、その名曲の魅力と優しいピアノ演奏によって緊張や悩みがほぐされて心が柔らかくなり、聴いているうちにウトウトとまどろんでしまうことでしょう。それほど優しい演奏を心がけたのですが、その結果『名曲性』はさらに明確になりました。なぜなら、究極に優しい演奏を心がけたため、演奏でリズムやダイナミクスがほとんど表現されていないからです。そのため、曲のメロディーとコード進行の関係だけが浮き彫りにされ、結果としてその曲がいかに名曲であるかがとてもわかりやすく伝わることになったのです。

 ですから、私にとっては、この『名曲の理由』で様々な名曲をご紹介する上で、今回の10曲がとてもその理由をお伝えしやすいわけです。 10曲はご覧の通り、曲を生んだ人もその人が生きていた時代も、曲が生まれた年もバラバラですが、それぞれの曲が持つ名曲性によって世界中の人に愛され、多くの人の心を打ち、震わせ、優しく包んできました。いったいこの10曲は、なぜそこまで人の心を惹きつけるのだろう? その理由の一部を、これから順番に解説していこうと思います。それぞれの曲の魅力に触れて頂き、名曲が持つ不思議な力を感じてもらえたら嬉しいです。

 


 

【プロフィール】

津田直士 (作曲家 / 音楽プロデューサー)
小4の時、バッハの「小フーガ・ト短調」を聴き音楽に目覚め、中2でピアノを触っているうちに “音の謎” が解け て突然ピアノが弾けるようになり、作曲を始める。 大学在学中よりプロ・ミュージシャン活動を始め、'85年よ りSonyMusicのディレクターとしてX(現 X JAPAN)、大貫亜美(Puffy)を始め、数々のアーティストをプロデュ ース。 ‘03年よりフリーの作曲家・プロデューサーとして活動。牧野由依(Epic/Sony)や臼澤みさき(TEICHIKU RECORDS)、アニメ『BLEACH』のキャラソン、 ION化粧品のCM音楽など、多くの作品を手がける。 Xのメンバーと共にインディーズから東京ドームまでを駆け抜けた軌跡を描いた著書『すべての始まり』や、ドワンゴ公式ニコニコチャンネルのブロマガ連載などの執筆、Sony Musicによる音楽人育成講座フェス「ソニアカ」の講義など、文化的な活動も行う。

FB(Fan Page) : https://www.facebook.com/tsudanaoshi
Twitter : @tsudanaoshi
ニコニコチャンネル:http://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi

 

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