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[9/21]【連載】日高央の「今さら聴けないルーツを掘る旅」 vol.18

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Vol.18 Theme : 「ある意味フリッパーズは日本のザ・クラッシュである

 

 あの猛暑は何処へ……な勢いで夏が過ぎ去ろうとしています。老若男女問わずに物思いに耽り易いこの時期には、青春サウンドが似合います……今日は青春サウンドの代表格、ギターPOPの概念を定着させた伝説のグループ、FLIPPER'S GUITARを聴きながら、過ぎ去りし夏に想いを馳せようじゃありませんか。

 ぼちぼち寒くなるであろう、これからの季節にぴったりなヨーロピアン・スタイル……それも値段的にもハードルが高いフレンチ・カジュアルを、いとも簡単に着こなしてファッション界にも影響を与えつつ、J-POP界にも静かなる革命を起こしたアーティスト……それが今回ご紹介するフリッパーズ・ギター。現在はコーネリアスとして先鋭的な活動を続ける小山田圭吾氏と、「オザケン」の愛称で21世紀のシティPOPを数多く産み出した小沢健二氏の二人組。

 意外なことに最初は、ファントムギフトやザ・コレクターズといったネオGSの括りで捉えられた五人組、ロリポップ・ソニックとしてスタート。当時イギリスで台頭し始めたネオ・アコースティックに対応するシーンが日本に無かったことと、60’sっぽいテイストを持ったバンドの受け皿がネオGSにしか無かったため、そこが一番近しいシーンだったのです。

 そして唐突にポリスターよりメジャーデビューしますが、ここでsalon music吉田仁氏のプロデュースを受けたことが功を奏し、同時代のネオアコのテイストをきっちりと打ち出すことに成功します。当時は珍しかった全曲英語詞、PUNKが流行り過ぎて逆にマンネリになってしまったことへのカウンターとしての「わざとソフトに、しかし毒を持った」アプローチが確立されます。ここは当時のネオアコ~渋谷系への流れを理解する上で、とても大事な部分です。

 続く2ndから二人組になってしまいますが、日本語詞の導入やタイアップを獲得し(ドラマ『予備校ブギ』の主題歌「恋とマシンガン」。今でもメディアから良く聴こえてくる名曲ですね)、知名度がグンとアップ! マニアックな引用を多用しているのに、サウンドは激POPというギャップや、お仕着せではなく実際に本人達が好んで着ていたアニエス・ベーのロンTボーダー等が、その後の渋谷ファッション地図をも塗り替えるのことになるのです。雑誌のインタビューに登場するようになると、同時代の電気グルーヴよろしく、サウンドはハードに言動はオチャメに……というギャップも見せ始め、当時のサブカル好き、及び乙女心を存分に刺激したのです。

 そして結果ラスト・アルバムとなる3rdでは、90年代を象徴するインディー・ダンス・ミュージックや、シューゲイザー的な要素を加味して、更にマニアックさに拍車をかけます。これまた今でもメディアから多々聴こえてくる名曲「グルーヴ・チューブ」を始めとしたサンプリング・ミュージックは、HIP HOPやストリートカルチャーとも連動し、単なるなよなよした文系男子っぽい魅力だけでなく、肉感的なサウンドも体得して、全方位からの支持を得たフリッパーズはまさに無敵状態! だったのですが……アルバム発売後にツアーもせずに解散してしまいます。

 このあっけない終焉や、ただでさえライブの本数も少なかったのもあって、フリッパーズは伝説的な扱いを受けるようになるのです……その後オザケンはソロ名義だったり、スチャダラパーの大ヒット曲「今夜はブギー・バック」への参加でミリオン・アーティストに、小山田くんはコーネリアス名義でPOPなのに実験性の高いサウンドで海外からも高評価を得る活躍ぶりを見せます。最新作でも坂本真綾女史を迎えた「あなたを保つもの」等で、そのアグレッシブな挑戦が楽しめますので是非チェックを。

 おそらくこの先も再結成しないだろうし、個人的にもしない方がカッコイイと思っているので(THE CLASHに対する憧憬と一緒です)、残された彼らの音源を楽しみつつ、両氏の未来に向かう新しい音源にも耳を傾けましょう。暑いと思ったらもう寒い……みたいに、移り変わりやすい季節のように、時代もどんどん動いているのですから!

 


 

music「恋とマシンガン」「グルーヴ・チューブ」など全12曲収録!

SINGLES/
FLIPPER'S GUITAR

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小沢健二が客演で参加した大ヒット曲!

スチャダラパー featuring 小沢健二
今夜はブギー・バック (smooth rap)
通常音源
 

コーネリアス(小山田圭吾)の作品はハイレゾでも配信中!

 
Sensuous
通常音源 | ハイレゾ
  あなたを保つもの/まだうごく
通常音源 ハイレゾ

 

 


 
 
【日高央 プロフィール】
 
ひだか・とおる:1968年生まれ、千葉県出身。1997年BEAT CRUSADERSとして活動開始。2004年、メジャーレーベルに移籍。シングル「HIT IN THE USA」がアニメ『BECK』のオープニングテーマに起用されたことをきっかけにヒット。2010年に解散。ソロやMONOBRIGHTへの参加を経て、2012年12月にTHE STARBEMSを結成。2014年11月に2ndアルバム『Vanishing City』をリリースした。
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