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[9/2]NICO Touches the Walls「渦と渦」発売記念スペシャルインタビュー

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「20代のうちにやれることをがむしゃらにトライして、バンドの可能性を広げたかった」とNICO Touches the Walls のVo.&G. 光村龍哉(以下、光村)は語る。2014年は、ベスト盤『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』を発表し、2度目の日本武道館公演も成功させ、2015年には、彼らにとって初のハイレゾ版を含むアコースティック・アルバム『Howdy!! We are ACO Touches the Walls』を発表するなど、精力的に動いてきた。新章に向け、ニュー・シングル「まっすぐなうた」を発売し、全国ツアーを終えたばかりだが、その勢いのまま、9月2日に「渦と渦」をリリース。彼らの今の歌への思いが、ハイレゾの音で、より鮮明に届けられる!

インタビュー&テキスト:古城久美子

 

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(イラスト:牧野良幸)

 

――ベスト盤から、今回のシングルに至るまでにアコースティック・アルバムを出されていますよね。これはどういうきっかけだったんですか?

光村 アコースティック・アルバムは、自分たちの可能性を広げる目的で作ったんですけど、自分たちの芯というんですかね、本来バンドがどうあるべきか?というのが浮かび上がってきて、手応えがありました。純粋に自分たちが積み重ねてきたものが何かというと、やっぱり「歌」。メロディ、言葉なんですよね。それをわかって、すごく肩の力が抜けたところがあって。6月に出た「まっすぐなうた」は3分ちょっとという、今までになく早い曲ができて、今回リリースされる「渦と渦」とセットで、歌に込めるエネルギーみたいなものが、すごく爆発したなと思って。

――アコースティック・アルバムは、これまでの楽曲をアコースティック・バージョンで録った作品でしたが、やはり違いましたか?

光村 違いますね。よくも悪くも素っ裸になるというか。エレキだったら、エフェクターで音を調整していくんですけど、一切ない。僕らも、純粋にプレイヤーとしての進化がそれぞれ問われる経験でした。歌い方に関しても、一度、録音している曲を歌い直すわけですが、アコースティックで、周りの音が削ぎ落されている分、同じ歌い方をしてもダメで。エレキの場合だとデカい声出して、高い音もワーっと出せるんですけど、アコギと合わせると過剰過ぎてしまう。テクニックでもごまかせないし、歌い方も一から考え直したり、裏声を使えるように練習したり。ベスト盤も出している身分で言うのもなんなんですが……アコースティック・アルバムで、初めて歌の特訓しました(笑)。
対馬祥太郎(Dr. / 以下、対馬) あの経験は、ドラムもベースもそうだし……今一度みんな基礎に返るというか。そう思わせる何かがあったよね。 光村 グルーヴ感がすごく問われるからね。

――そういう意味では、日本武道館のライブを拝見しても思ったんですが、バンドの底力が格段についていて、アコースティック・アルバムでも出せているのでは?

光村 あの武道館って、今、振り返ると、自分たちの中では過渡期、そのど真ん中にあったライブで。バンドの勢いはある種自信があったし、さらなるバンドの可能性を考えて、アコギ1本で弾き語るコーナーもやったんですよね。その日は、実験のつもりでやっていたんですけど。

――チケットも完売していましたね。

光村 9000人入っていたんですよね。でも、その9000人の前でも、アコギ1本でも届いている手応えがあった。それがなかったら、「アコースティック・アルバムは辞めよう」と言っていたと思う。そういう1つ1つの実験を経て、この1年くらいで、バンドの引き出しというか、懐も深くなったのかなと思います。

 

■「渦と渦」のウリは、バンドの芯となる歌

――芯は「歌」だというところで、バンドは?

古村大介(Gt. / 以下、古村) バンドの中で、「歌」を中心にして、曲のアレンジもみんな同じ意識で向かいました。みっちゃん(光村)の歌があって、じゃあ、バンドはどういう温度感がいいのか? さらに歌はどうあるべきか?そういうやり取りが充実していて。だから、武道館以降目まぐるしかったですね。「ここはこうしなきゃ」とか、問題点も含めどんどん出てきたんですよね。でも、まだその途中でもあり、バンドの芯があった上で、進むべき道にどんどん近づいているところというか。
坂倉心悟(Ba. / 以下、坂倉) この2年くらい、みんなの中で自分たちの可能性を考えた時に、芯になる強いものって「歌」だと共有してきて。その中で、ライヴやアコースティック・アルバムを通して、自分の演奏にしても、やればやるほど課題が見えてくる。それは、いつもそうなんですけど、やればやるほどっていうのが正直なところで、基礎的なことも含め自分を見直す期間にもなったし、やればやるほど続けなきゃなって思いました。それを意識していく中で、やはり歌やメロディが一番の武器だなという実感が、今回の全国ツアー(5/21〜7/19、15カ所17公演)を通しても身体に入ってきた。自分たちの芯を体現できた時間だったなと思います。

――そして、「渦と渦」にもつながるわけですね。

光村 そうですね。「渦と渦」はBメロのメロディ・ラインと、サビのコード感ができた時に、もう、これはウリにしたいなと。ウリにすべきポイントが歌なんだぞっていうことを自覚してやれたからこそ、自然と沸いてきた。

――この曲、頭の中でループしていますよ。

光村 よかった、よかった。4人の中で狙いがブレていないからこそ、歌に集約されるエネルギーが今までで一番大きなものになったんじゃないかな。5分弱歌いっぱなしですからね。

――確かに。「渦と渦」をハイレゾ音源で聴かせてもらったのですが、王道のロックではありますが、“矛盾だらけの日々に〜”の節では、何重にも音が重なり作り込んであって面白かったです。

光村 そこは、相当こだわって作っていますからね。王道な曲だし、ストレートに作れば、あそこでギターソロがくるんでしょうけど、あまり今までやったことないような、不思議かつ壮大なコーナーをそこに集約しようって。ここ3、4年、コーラスワークもテーマにしていて。ライヴでは、僕がメインで、ドラムの対馬とハモる感じだったんですけど。今、古君(古村)もコーラスにあがってきたので。
古村 がんばっているところです(照笑)。
光村 だから、ライヴで3声でハモったりできるようになってきたから、新しいことをやろうと思って。あの部分だけで、メイン、上、さらに上、さらに上……オクターブ下も入れたな。全部で5パートを不思議かつ壮大に聴こえるように重ねているんですよ。コーラスラインも違ったメロディも組んだり、あそこだけギターもやたら重なっているしね。そこがあるから、その後、激しくなるところが気持ちいいから、音を重ねた甲斐があった。ハイレゾで聴くと解像度が高くなっている分、より聴きやすくなっているのではないですかね。

――ここは時間がかかったのではないですか?

古村 アレンジの時間はかかっています。
光村 7割方がここじゃないかな。他は、ガーッと歌が引っ張っていく感じですよ。

 

■大瀧詠一『A LONG VACATION』『EACH TIME』

――こういう、重ねた音って、特に、ハイレゾだったり、オーディオで楽しめると思いますが、リスナーとしてはいかがですか?

光村 僕は、最近、ナイアガラ(大瀧詠一のレーベル)ものばかり聴いているので、大瀧さんの本を読みながら、この曲はどうやってレコーディングされたのか?って想像したりしていますよ。『A LONG VACATION』とか『EACH TIME』なんかはフィル・スペクターばりのウォール・オブ・サウンドで、同じ音をいっぱい重ねて自然な残響感を出している。そういう音の重なりもそうですが、余韻みたいなものも意識して聴くことが増えたかな。どういう部屋で鳴っているか想像したり……。
坂倉 僕は基本的に家でもヘッドホンやイヤホンで聴くので、そこで目を閉じて、気持ちがいい音を聴きたいタイプで。それでいくとハイレゾが一番好きかもしれないですね。音の重なりが美しいとか、奥行きがすごく気持ちいいんですよね。ロックのバーーンと音が面になってくるものも、もちろん気持ちがいいんですけど、また違う味わいというか。好みだなー。
古村 僕は、ハイレゾだと、自分が演る側だとしても、演った意味みたいなものがダイレクトに聴こえるので、そういうのが楽しい。だから、ハイレゾだと重ねがいがある。普段、俺ら、楽器をやっていて、楽器耳で聴いちゃうところもあるんですけど、その耳だと、ハイレゾは何を聴いても楽しいなと思ってしまいますね。

――ハイレゾだと制作者の意図がより見えますよね。先ほどの音を重ねている部分は、大変だったろうなとも思いましたし。

光村 ただ、僕らは96kHz/24bitのハイレゾ版も作り始めたのがアコースティック・アルバムからなので、それからは実はレコーディングにあまり時間がかかってないです。ミュージシャン的な観点でいくと、自分で聴いている耳の感覚に近いから、パッと鳴った音の時点で納得できるという、そういうよさはあるかな。アコギなんかは如実で。ホントにたっぷり身体に響く音だと思うので、「渦と渦」のカップリングで「僕は30になるけれど」という曲は、自分がアコギを弾いている時の感覚と近くてびっくりしましたね。

――演奏で聴いてる音とこうして聴いている感覚が近いということですね。

光村 そうですね。この曲は、たまたま、ドラムをタイトな音にしようという作戦を立てていたから、小さな部屋で録ることになって、いつもドラムを録っている大きな部屋が空いたんですよ。それで、アコギをその部屋で1人で録ったんですよ。それで、せっかく広い部屋だから響きも録ろうと思って、いつもだとマイクを立てても2本とかなんですけど、4、5本立てたんですよ。そしたらアコギ1本、1人で弾いているだけなのに、アコギの音に包まれているような感じがして。本当に部屋の中で聴いているみたいな感じがすごくわかった。通常、そういう広がりを出すときは、もう一度アコギで同じことを弾いてダブらせて、左右、音の広がりを持たせるというようなことをやるんですけど。「これ1本でいいじゃん!」って。その感じがね、ハイレゾだとより出ている。僕のあのときの感動が蘇りますよ。

――そのアコギの音をこちらも体験できるという……。

光村 アコギだけでなく、人の声も同じですけどね。僕の声も特にクセがあるというか。レンジが広いので、ハイレゾになると、僕のクセみたいなものがよりくっきりはっきり見えてくる。そのクセも、わざと出している部分もあって、わざとらしいところは、わざとらしく出ているから。

 

■気持ちはスペシャルズでしたが……ハイレゾ先生は厳しい!

――矢野顕子さんの「ラーメンたべたい」をスカ調でカバーしていますが、どうしてこの曲を選んだんでしょうか?

対馬 ラーメンが大好きで(笑)。
光村 NICOのソウルフードなので。各地廻ると、その土地の名物とか食べさせてもらってありがたいんですけど、何日か経つとラーメンが食べたくなる。今回も、ツアー中にすごくラーメンが食べたくなって、「カバーしようか」って。ま、でも、スカって、バンドであまりやっていなかったんですけど、裏打ちのギターがハイレゾになると、なんちゃってでやっている感じがバレちゃってて。気持ちはスペシャルズだったんですけど。

――(笑)。

対馬 やってるときはノリノリ。
光村 ミックスしている時もね、「おお、スカの空気作ってんじゃん」と思ってたんですけど。ハイレゾになった瞬間、お調子もの感が出てて(笑)。厳しいですね、ハイレゾ先生は。

――(笑)。今の、バンドがノッている感じも出ていますから。そういう、バンドのいい時期にハイレゾのフォーマットが出てきたとも思いますが。

光村 僕らは、アコースティック・アルバムというわかりやすいところから入れたというのはあるけど、まだまだ研究しがいがあるなって思うんです。エンジニアの方ともしょっちゅう議論して。レコーディング終わっても、スタジオで遅くまで、いろんなアンプとか、96kHz/24bitが48kHz/24bitになったらどうなるかとか試してて。それで夜更かししちゃって。ホンッと、いろいろとやりようがあるなって。ハイレゾって、とても器の大きなメディアなんですよね。だから、デカい部屋に住んでいるのと同じで、どういうインテリアで彩るか、個性が出てくる。研究のしがいがあるフォーマットだなと思います。

――ストリーミングサービスも出てきて、音楽も、いろんなフォーマットで提供される中で、ハイレゾのような技術革新が音作りにも影響していくわけですね。

光村 選択肢のひとつですよね。
対馬 アコースティック・アルバムを作った時にレコード盤も初めて作って、CD、ハイレゾと、それぞれに味と雰囲気があって音の差をスゴく感じました。ハイレゾは、いい意味でみんなの音がちゃんと分離してよく聴こえるなと。演っている本人にはハイレゾだと恥ずかしいところもあって。ああ、そこも……というところまで、よく聴こえちゃったりするから(笑)。

――いろんな音がクリアに(笑)。

光村 まあ、レコーディングの環境は、ずっと僕らはハイレゾだったわけで、そこで、みんなで吟味して納得して満足して、今までだとCDの音源に圧縮してきた。だから、ミュージシャンの気持ちを知るみたいな、そういう瞬間を聴きたい人には、ひとつの選択肢になりますよね。僕もイチ音楽ファンとして絶対知りたいので。

 

■ジョン・メイヤーのアコースティック音とマイケル・ジャクソンのシンセ音

――音楽ファンなら、ハイレゾはマニアックに楽しめますよね。具体的に感動した作品ってありますか?

光村 僕が、最近感動したのはジョン・メイヤーの『パラダイス・バレー』というアルバムです。アコースティックの楽器の分量が多いというのもあるんですけど。

――アナログレコーディングというより、現代レコーディングされたもののハイレゾ版ですね。

光村 そうですね。ちょうどCD盤を先に買っていて、いいアルバムだなと思っていたものの、ハイレゾで聴いたら、さらに、この人たち楽器ウマいなって。CDでは、衝動が押さえつけられていたんだっていう感動がありました。僕らも、まだもうちょっと慣れないとな。マイケル・ジャクソンのアルバムを聴いたときに思ったのが、結構、迫力があるなと。自分の中では繊細なフォーマットだと思っていたんですけど、こんなにパワーがあって、派手なんだって。

――アナログでシンセを録音するという贅沢なことをしているので、それが煌びやかな表現になっていて、『スリラー』とか本当にすごいんですよね。シンセやストリングスが思いもよらないことになっているパターンは、薬師丸ひろ子さんの「探偵物語」(大瀧詠一作曲)のような歌謡曲もスゴいです。

光村 ハイレゾもいろんな解釈があるから、何を持ってヨシとするのかは、やはり研究ですよね。

――山下達郎さんはロックは48kHz/24bitがベストだとも(引用元:ナタリー)。

光村 そこは僕も感じるところがありますね。だからこそハイレゾはハイレゾでアレンジしたいというのもありますね。マニアックになりすぎるかな(笑)。

 

■選択の幅が広がって、音作りはもっと自由になる!

――ハイレゾで、バンドの可能性を感じるところもありますか?

光村 すごく、機材も好きだし、レコーディングも実験するのが好きだし、かつ、本当に、ケーブル1本、電圧だけでも変わるから、こだわっている部分が如実に反映されるというのは、こだわりがいがあるなって思います。だから、自分たちもより、こだわるポイントがはっきりしてくるのかなと。選択の幅が広がって、自由な分、自分が居心地がいいポイントをより自由に選びやすくなったなと思うので、その中でまた進化していければいいなと思います。既に、現時点で、改良したいポイントがいっぱいあるので。

――おお、例えば、どういうところ?

光村 歌というポイントで考えると、もっと目の前で歌っているように聴こえるんじゃないかなと思うんです。どこまで前に出せるかというのは、過渡期にある気がしていて。他にも、いろいろあるんですよ。Neve(RUPERT NEVE DESIGNS社)の卓(=レコーディングで使用するミキサー)で録ってみたいとか、この機材使ってみたいとか。あと、全部ライン(=マイクを通さずに直接つないで録音すること)で録ってみたいとか。もう、本1冊分くらい語れそう(笑)。そういうのが好きなのは僕だけなんですけど。
対馬 いろいろやってみたいというのはあって、そこで起きる化学反応もあるので。「いいね、それ!」って。
光村 そういう意味では、嫌がるメンバーがいないのがありがたい(笑)。
古村 自分で、いろいろ気づかされる環境にあるので、そこは肝に銘じつつ……。
坂倉 でも、やったことが報われるというか。ちゃんと違いがわかるというところでは、楽しみが増えますよね。だから、ハイレゾって楽しみばっかりかな。ただ、キリがなくなっちゃって、違うところにいっちゃってるんじゃないのっていうような、それだけは気をつけようかな(笑)。

――このあとは、日本武道館が控えていますね。

光村 今度は、大阪城ホールもあるので。自分たちとしては、もっといろんな人を巻き込んでいきたいし、いろんな場所に行って、その思いが伝わればいいなと思います。

――ライヴ音源も、ぜひハイレゾで出してください!

 

New Single『渦と渦』

M1. 渦と渦
M2. 僕は30になるけれど
M3. ラーメンたべたい
 

 

NICO Touches the Walls アーティストページはこちら

 


 

NICO Touches the Walls

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、2005年から東京・渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2007年11月にミニアルバム『How are you?』でメジャーデビューを果たし、2008年9月に1stフルアルバム『Who are you?』をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。以降もコンスタントに作品を発表し、2014年2月に初のベストアルバム『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』をリリースした。2014年8月には2度目となる日本武道館単独公演も大成功を収めた。2015年2月に新たな試みとなるアコースティックアルバム『Howdy!! We are ACO Touches the Walls』を発表。同年6月にシングル「まっすぐなうた」を、そして9月2日にニューシングル「渦と渦」をリリースする。

 


 

 

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