最新のトピックスへ Facebook Twitter

[8/21]【アイドルコラム連載第4回】松田聖子~独自の歌唱法からくるヒット曲

Tweet(ツイート)    

blog_header_mora_idol_column_20140821.png

 

前回はアイドルとアーティストのコラボという点から山口百恵さんについて書かせて頂きました。

さて、日本のアイドル史を語る上で絶対に外せない方がおられます。そうです、松田聖子さんです。

松田聖子さんもアーティストとのコラボを積極的に行って、アイドルファンだけでなく、

音楽好きな人、同性代のファンをつけ、武道館公演数も100回を超える、日本の現役TOPアイドルです。

この人がいなかったら80年代アイドルブームや、

現在のアイドルブームも大きく違ったものになっていた事でしょう。

 

彼女が最初にアーティストとコラボをしたのは4枚目のシングル「チェリーブラッサム」からです。

この曲の作曲は「チューリップ」財津和夫さんです。

当時、「不良がやってるロック」でも「四畳半フォーク」でもない、

「様々な音楽ジャンルを日本的に消化した、ラブソングを中心とする歌もの音楽の総称」として

「ニューミュージック」と呼ばれたアーティストの方々がおられましたが、

その中の1バンドがチューリップでした。

 

2枚目のシングル「青い珊瑚礁」の大ヒットであっという間にトップアイドルになっていた

松田聖子さんのこの曲に対する第一印象は「暗い」で、

しばらくこの曲にいい印象を持ってなかったようで、当時も時々その趣旨の発言をしていました。

 

確かに松田聖子さんというと「青い珊瑚礁」の印象が強烈です。印象的な歌詞や曲はもちろん、

大村雅朗さんのアレンジによるイントロと、後のアイドルに多大な影響を及ぼした、

あの独特の歌唱方法からくるものだと思います。ちょっと細かく見ていきましょう。

 

まずイントロですが、ここで聞かれる印象的なピアノの音色は多分、

YAMAHAのCP80という機種だと思います。

フォークギターからエレキギターが出来たように、当時は楽器の電気化が盛んでした。

シンセサイザーも当時はありましたが、生楽器やピアノの音を出すようなものではありませんでした。

そこで、普通にグランドピアノのように弦が張ってあるものにピックアップをつけて、

且つ、ライブツアー等に持ち運びできるような耐久性と分解できる構造を持った楽器がCP80でした。

それ以前にもストラトに代表されるエレキギターで有名なFenderが作っていたFender Rhodesや

電子オルガンメーカーのWurlitzerが出していた所謂エレピ(エレクトリックピアノ)はありましたが、

音叉等を利用したもので、

「普通の弦の張ってあるピアノにピックアップつけちゃおう」という発想のものではありませんでした。

ですのでこのCP80は「エレクトリックグランド」という名前で呼ばれていました。

「青い珊瑚礁」はこの独特の音色でのブロックコード

(大雑把な説明ですが、メロディーにコードもくっつけて弾いちゃおう的な感じ)のフレーズに、

南国的なパーカッション、そしてストリングスの低音部からの駆け上がりと、

シンセサイザーのホワイトノイズという「サー」っというノイズを加工して作られた

「海の波」の音がPANを振られて(スピーカーの左から右に音が移動する事)

最高潮に盛り上がったところで彼女の歌が入ってきます。

物凄く短いフレーズなのですがこのように非常によく出来ています。

 

そして出だしからハイトーンの伸びのある声で「あー」です。

これだけでもかなり印象的ですが「あー」の最後にちょっとしゃくりあげる独特の歌唱をします。

「あーぁ↑」な感じです。更にメロディーライン上昇し、「私の」の「の」に到達します。

この「の」でもさらに大げさに音をしゃくりあげ「私のぉ↑」の「ぉ」を指定音程以上に

急激に且つ短時間上昇させます。

その後も「走るわ~ぁ↑」「あーぁ↑」「青いかぁ↑ぜ~」「きっ↑て走れ」と、

たたみかけるようにこの方法で歌います。これは当時とてつもなく印象的で、

アイドルの新しい「かわいい」歌唱方法の誕生だったと思います。

少なくとも前回ご説明させて頂いた山口百恵さんにはこういった歌唱方法は見られませんし、

どちらかと言えば声のトーンが暗いので、

その後に出てきた松田聖子さんのこの「明るい」歌唱方法は強烈な印象でした。

この曲がそういう歌唱をするサビから始まる構成なのも秀逸ですが、

それにマッチした歌いやすく覚えやすい歌詞、

その声質を生かした伸びのあるサビのメロディーと、めりはりのある他の部分のメロディー、

それを盛り上げるアレンジ、そして「聖子ちゃんカット」と呼ばれる髪型に清涼感ある白い衣装、

全てが一体となり、結果シングル2枚目にして一気にTOPアイドルに上り詰めた訳です。

 

続く3枚目の「風は秋色」「青い珊瑚礁」を踏襲した秋バージョンというような作りで、

ストリングスやフルート、マリンバといった楽器がその雰囲気を醸し出しています。

作曲は前作と同じ小田裕一郎さん、アレンジの信田かずおさんは

当時さだまさしさんのツアーでピアノを担当されてましたが、

元々はジャズ系の方なので、非常にジャズ、フュージョン系っぽい要素が見られ、

それがまた一層秋っぽい感じに仕上がっています。

そもそもサビ頭歌いだしの音がメジャーセブンスの音ですので、

メロディーからもうジャズ&フュージョン系の色彩が少しあり、

それらを生かしたアレンジになっているという事だと思います。

前述の歌唱方法は若干見られますが、やはり秋なので多少抑えられています。

 

それに比べると「チェリーブラッサム」は暗い、という事だと思うのですが、

松田聖子さんになると書くことが沢山ありますので(笑)また次回にしたいと思います。

彼女のファンを公言しているミュージシャン、タレントさんも多いですが、

中川翔子さんがファンで彼女の曲名をちりばめた曲を出していたり、

BABYMETALで有名になったさくら学院に在籍していた武藤彩未さんも強い影響を受けており、

80年代のカバーや80年代の衣装やメイクなどをオマージュし、最近活動を本格化しています。

近年はグループが多く、こういった独特の歌唱が表現しにくい状況ですが、BABYMETALもそうですが、

ソロで歌う事で個性が発揮されヒットに結び付くようなアイドルがもっと出て来てほしいなぁ、

と思う次第です。こういうソロの歌こそ、細かなブレスまで聴きとれるハイレゾ音源で聴くと、

もうCD持ってるよという方でも、新しい発見があるかと思いますので是非お勧め致します。

文:青山静馬

過去のコラムはコチラ

[同じカテゴリの最新トピックス]

mora TOPIC トップへ
moraに戻る
Facebookページへ
mora公式Twitterページへ
ページトップへ
▲ページの先頭へ戻る